2分でわかるアメリカ

2013/10/25米政府閉鎖の代償と歓迎


 16日間に渡ったアメリカの政府機関の閉鎖。アメリカの第四半期のGDPを0.6%程度押し下げたと予想されています。期限付きの合意により再開したものの、年末から年初にかけ問題が再燃する可能があります。個人と企業の心理に当面影響、マーケットの混乱要因になる可能性もあります。 

政府閉鎖は、オバマ政権とアメリカの議会の信頼にもダメージを与えました。ウォール・ストリート・ジャーナルとNBCの共同調査では、「アメリカが悪い方向に向かっている」と答えた人が78%と、9月第1週の調査と比べ16ポイントも上昇しました。短期間にこれほど跳ね上がったのは、2003年のイラク戦争開始以来のことです。ウォール・ストリート・ジャーナルは、政府・議会の対立による混乱が年中行事になり、始末が悪いと論評しています。

政府閉鎖で最も責任があるのは共和党の保守派議員だとされています。保守派とは、白人のキリスト教徒がリーダーシップをとる伝統的な考えを強く主張するグループです。特に東海岸のサウスカロライナ、ジョージア、フロリダ、そして西海岸から中西部ではテキサスやユタの共和党保守派が知られています。

オバマケアと呼ばれる医療保険制度改革を予算や債務上限引き上げ問題と関連づけ、混乱を招いた1人がユタ選出のマイク・リー上院議員です。ティー・パーティーと呼ばれる保守派組織のスターとされたリー上院議員はいま、地元で激しい批判を浴びています。政府閉鎖により観光客が激減し、ユタ州の経済が大きくダメージを受けたからです。集会では、激しい罵声を浴びました。

一方、ブッシュ父と息子のジョージWの2人の共和党大統領を輩出した保守王国のテキサスでは、超保守派のテッド・クルーズ上院議員がヒーローになりました。ティー・パーティーもクルーズ氏を高く評価しています。オバマ政権に打撃を与えたとして、地元の集会には600人が集まり、スタンディング・オベーションが長く続いたそうです。

アメリカにはリベラルで民主党支持者が多いカリフォルニア州や保守的なテキサスなどが混在し、ひとつにまとめるのは容易ではありません。ウォール・ストリート・ジャーナルが言う「年中行事」はまだまだ続きそうです。

[OCTOBER 24 , 2013] No 0105394

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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