2分でわかるアメリカ

2013/10/18不透明要因残したワシントン


 世界が注目したアメリカ議会の債務上限引き上げ問題はデッドラインとされる今日17日目前に解決しました。また、16日間続いた政府閉鎖も暫定予算が成立したことで、再開されました。 

ワシントンで繰り広げられた混乱に世界が驚きました。アメリカ国内では「あきれた見方」が多かったように思います。共和党が過半数を握る下院、民主党が過半数の上院、そしてホワイトハウスの間で、法案策定と拒否、代替案作成を過去2、3週間何度も繰り返しました。

これほど揉めたのは、ねじれ議会とベイナー下院議長のリーダーシップに問題があると一般的にみられています。しかし、実際には多くの要因が複雑に絡み合っています。

1つ目は、オバマ大統領と議会が、2011年と2012年の財政協議で中途半端に合意したことが挙げられます。2012年末には、ブッシュ政権下の富裕層への減税措置を失効させることで一致したとされていますが、実際には具体的な合意は何もありませんでした。逆に歳出の大幅削減を主張する共和党に大きな不満を残す結果になりました。

もう1つは、共和党が一枚岩ではないことです。特にテキサス州のテッド・クルーズ上院議員をはじめとする超保守派が暫定予算と医療保険制度改革法案(オバマケア)を関連づけたことが状況を複雑にしました。下院でもクルーズ上院議員を支持する保守派が台頭、ベイナー下院議長が繰り返し法案をつくりましたが、民主党どころか共和党の支持も得られない局面がありました。3年前の中間選挙と去年の選挙で共和党を支持したティー・パーティー、そしてヘリテージ・アクションと呼ばれる保守グループの存在がベイナー議長を難しい立場に追い込みました。

さらに、オバマ大統領が一貫して「交渉はしない」と主張したことで議会との関係が悪化、解決に時間がかかったとの指摘もあります。今回は、プレイヤーのいずれもが信用を落とす結果になり、「勝者なき解決」だったと言えます。国家の信用にも影響しました。

共和党保守派の代表的な存在であるクルーズ上院議員は、引き続きオバマケアを廃案にすることを求めていく考えを示しました。また、今回の合意では、中期的な財政赤字削減が超党派で協議することが含まれています。協議が難航することは必至です。政府機関は再開され、債務上限が引き上げられたことでデフォルトは回避されましたが期限付き、ワシントンの混乱はさらに続くとみられます。

[OCTOBER 17 , 2013] No 0105388

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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