2分でわかるアメリカ

2013/10/12「お金持ちの掟シリーズ2」激減した日本のミリオネアー


アメリカは1980年代以降に「リッチ製造マシーン」になったと先週お伝えしました。1980年以降に富裕層を優遇した税制が多くの富裕層を生み出しました。これに、金融工学の発達、豊富な資金、投資家や人材の厚み、英語が基本ベースのインターネットの普及、シェールガスなど多くの要素を背景に、アメリカの富裕層は増える一方です。議会が対立して政府が閉鎖されても、失業率が高止まりしていても、流れが変わることはなさそうです。

お金持ちの銀行として知られるクレディ・スイスが今週発表した「グローバル・ウェルス・レポート2013」もそれを裏付けています。レポートによりますと、アメリカで100万ドル(約1億円)を超える資産を持つ人、いわゆるミリオネアーは1321万6000人でした。前年比で約170万人増えました。世界全体では180万人増えましたので、増加の94.4%はアメリカが寄与した形です。

 アメリカに次いでミリオネアーが増えたのはフランスでした。ちょっと意外です。前年比で28万7000人増えました。ドイツ、イタリア、イギリスと続きます。アジアで富裕層が増えていると一般的に考えられていますが、中国は9万人しか増えませんでした。 

富裕層が大幅に増えているアメリカ、そしてヨーロッパの主要国と比べ、ミリオネアーが最も減ったのは日本でした。2013年半ば時点のミリオネアーの人数は265万5000人と、前年比で約130万人も減りました。レポートでも、日本の急減を指摘しています。次いでミリオネアーが減ったのはブラジルでしたが、わずか1万2000人しか減っていません。ミリオネアーの減少は日本に集中しています。

背景には円相場の下落があります。1年前は約8000万円が100万ドル(1ミリオン)でしたが、いまは約1億円の資産がないとミリオネアーではありません。輸出企業を助けるため政府・日銀主導で円安誘導した結果、日本人のドルベースの個人資産は今年だけで5.8兆ドル(約580兆円)が目減りしたとクレディ・スイスはレポートで書いています。個人的には、円安のネガティブな部分がこれから幅広い分野で出てくるのではないかと予想します。

日本のミリオネアーが急減したもう1つの背景は、富裕層の一部が低税率のシンガポールなどに移住したこともあるとみられます。グローバル化が進み、富裕層は生まれた国に縛られません。映画プロデューサーの友人から聞いたのですが、ハリウッド・スターのジャッキー・チェンさんは、ビバリーヒルズの豪邸に年183日未満しか住まないそうです。年の半分以上をアメリカで過ごすと所得税が発生するからです。香港は税金が低いからです。

[OCTOBER 11 , 2013] No 0105384

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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