2分でわかるアメリカ

2013/10/01衝撃!2022ワールド・カップの奴隷


アメリカとイギリスは文化が似ていて、インターネット時代のいま、それぞれの国が双方のメディアに接することが依然と比べ大幅に増えました。同じ英語圏ということも大きいと思います。イギリスの新聞の特定の記事が、アメリカ人に読まれることは少ないのですが、先週25日に掲載されたガーディアン紙の独自取材の記事が、幅広く読まれ衝撃を与えています。

「カタールのワールド・カップの奴隷」と題されたピート・パティッソン記者が書いた長編記事です。(リンク先はこちら)

カタールは、中東の小国です。人口は140万人あまりしかいません。豊富な石油資源を有し、一人当たりのGDPは9万8000ドル超と世界最高水準です。7世帯に1世帯が100万ドル(約1億円)の金融資産を持っています。つまり、世界で最もリッチな国の1つです。日本人には「ドーハの悲劇」の印象が強いかもしれません。

このカタールで、サッカーのワールド・カップが2022年に開催されます。今年から、新しい競技場などビッグ・イベントのためのインフラ建設が首都ドーハをはじめカタール全域ではじまりました。カタール政府は1000億ドル(約10兆円)を投資する計画です。

ガーディアンは、建設のためにネパール人が労働者として大量に雇われたが、奴隷のように扱われていると現地から伝えました。独自の調査では、今年6月7日から8月8日のおよそ2ヶ月間だけで、44人のネパール人労働者が死亡しました。その半分は、心臓発作、心不全、労働中の事故が死因です。

何ヶ月も給与が払われておらず、パスポートを預けているため逃げることも出来ず、不衛生な狭い施設で寝泊まり、摂氏50度に達する猛暑の中で働いています。インフラ建設のために働く労働者は、ネパール人を含め90%が外国人。世界で最も豊かな国で開かれる世界で最も人気があるイベントのために世界で最も貧しい国の人が準備をしているとピート・パティッソン記者が書いています。あるグループは、2022年のワールド・カップまでに4000人の外国人労働者が死亡すると予測しています。

 こんなことが今でもあるのかという衝撃的な報道です。記事は人道問題に厳しいアメリカの主要メディアの多くが取り上げました。世界的な社会問題になる可能性があります。 

[SEPTEMBER 30, 2013] No 0105375

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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