2分でわかるアメリカ

2013/09/25米政府閉鎖でいったいどうなる


 オバマ大統領と議会の対立による時間切れで、来週火曜日の10月1日からアメリカ連邦政府の機関が閉鎖される公算が高まっています。 

具体的には3つのデッドラインがあります。まず、9月30日。アメリカ政府の会計年度は10月1日から9月30日までです。つまり、議会が30日、来週の月曜日までに来年度の予算を可決しなければ、政府はお金を使えません。下院は先週末、12月15日までの臨時予算を可決、法案が上院に送られました。しかし、法案にはオバマケアと呼ばれる医療制度改革法のための予算が切られています。このため、仮に上院が可決しても、オバマ大統領が拒否権を発動することは間違いないとみられます。今後1週間、ギリギリの交渉が予想されますが、決着がつかない可能性があります。

もうひとつのデッドラインは10月半ば。具体的な日程は不透明ですが、アメリカ政府の資金が10月半ばから11月はじめにかけて枯渇します。アメリカでは、政府が借りられる借金の上限額が法律で定められていて、現在の上限は16.7兆ドル(約1670兆円)です。議会が上限を引き上げない限り、政府は新たに国債を発行して借金することができません。金利分も支払えないため、債務不履行、いわゆるデフォルトの状態になります。

そして、下院が予算を外したオバマケアが10月1日からはじまり、来年1月から本格的に動き出します。予算がつかなければ、大混乱が予想されます。

アメリカでは1977年から1980年にかけて政府機関が6回閉鎖されました。また、1981年から1996年の間に9回の閉鎖がありました。具体的には、国立公園、国立美術館、博物館、科学館などのほか、毒物処理機関が閉鎖やパスポートの発給が停止しました。社会保障費や恩給も停止されました。今回は3つの予想が重なっていること、オバマ大統領とライバルの共和党のベイナー下院議長の政治力が落ちていることなどから、過去と比べ、閉鎖による影響が大きくなる可能性があります。80万人の連邦政府職員と200万人の関係者への給与が遅配になるとみられています。

閉鎖された場合も、安全保障や治安、国境警備に関わる業務は継続されますが、マーケットは大きく荒れる可能性があります。1995年から1996年にかけ21日間閉鎖された際、ドル相場が大幅に下落しましたが、今回は下落幅が拡大すると予想するマーケット関係者もいます。同時に国際決済通貨としてドルのシェアが大幅に低下、株式相場が急落、米国債の利回りが上昇し世界が混乱するとの指摘もあります。FRBのバーナンキ議長が緩和縮小を見送ったのはこの問題を懸念したことが背景の1つだとされています。

国の借金に歯止めが利かなくなっている国と比較し、政府の借金に上限を設けるのは悪いことではありません。ただ、仮に今回、閉鎖を免れたとしても、来年も再来年も、その先も債務上限、政府閉鎖の問題が再浮上することは明らかです。アメリカ経済のアキレス腱と言えそうです。

[SEPTEMBER 24, 2013] No 0105371

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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