2分でわかるアメリカ

2013/09/21「常識シリーズ49」フクシマをみる目


フランスの週刊誌カナール・アンシェネに掲載された風刺画は日本人の心を傷つけた。9月11日付け号には、2020年東京五輪開催と福島第一原発の汚染水問題を報じた記事が掲載されたが、その隣に、手と足がそれぞれ3本ある相撲力士の風刺画がつけられた。

土俵で向き合う力士に対し、防護服を着た記者が「フクシマのおかげで相撲が五輪競技になった」と中継。別の風刺画は「フクシマに五輪プールを建設した。防護服の着用が許可される」と解説されたガイガーカウンターを手にした2人が描かれた。

在仏日本大使館は抗議したが、編集者は「過ちはない」と9月18日号で反論した。不適切な表現で報道機関としての常識に欠ける風刺だと言える。しかし同時に、福島第一原発事故に対するフランス人の見方を示したものとも受け取れる。チェルノブイル事故の悪夢の記憶が残る原発大国フランスでは、大震災から2年経った今も汚染水が漏洩していることに厳しい目が向けられている。福島第一原発のニュースが出る度に、フランスの主要メディアが大きく報じている。非常に敏感だ。

日本の放射能問題に対する海外の懸念は、日本の誰もが想像しているより大きい。東京五輪が決まったブエノスアイレスのIOC総会で汚染水に関する質問が出たのもその表れだ。

先週末にロサンゼルス市内で開かれた食のイベントでも「フクシマ」の問題が話題になった。カリフォルニア・キュイジーヌのイベントだったが、「シーフードは食べても安全か」という質問が相次いだ。アメリカの専門家は、海に流された福島第一原発の汚染水が2013年末から2014年にかけて西海岸に到着すると予想している。

チェルノブイルの黒海への影響を調査した経験もあるウッズ・ホール海洋研究所のケン・ブッセラー氏は、西海岸に流れ着いた汚染水は放射線量が大幅に低下しているとして、食べても大丈夫だとしています。しかし、同時に完全に安全だとは言えないとも語る。ブッセラー氏は福島の海の水も採取したが、高い放射線量があったと研究所のサイトに書いている。多くの欧米メディアが取り上げている。

 世界のメディアは、今後も「フクシマ」を報じ続けることは間違いない。日本のメディアとは違った視点で、事実を客観的に伝えている。日本のメディアより参考になることが少なくない。 

[SEPTEMBER 20, 2013] No 0105369

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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