2分でわかるアメリカ

2013/09/17リーマン崩壊から5年、最も得した意外な人


世界的な金融危機を引き起こしたリーマン・ブラザーズが破たんしてから15日で丸5年。世界の株価はリーマン破たん前と比べ平均で20%上昇しました。そして、各国の中央銀行のバランスシートは大きく膨らみました。依然として高い失業率が続いている一方で、過去5年で巨額の利益を得た人がいます。勝者と敗者が両極端に分かれた5年間だったと言えます。

超低金利が20年以上も続いている日本と違い、アメリカの金利水準はリーマン破たん前までは正常でした。5万ドル(約500万円)の定期預金には4%の金利が付き、5万ドル(約500万円)預けると年に約2000ドル(約20万円)の金利収入を受け取れました。いまの平均金利は0.23%で、5万ドルに対して年115ドル(約1万1500円)しか金利がつきません。職を失ったり、収入が大幅に減った多くのアメリカ人にとってダブルパンチ。リーマン破たんの犠牲者もしくは敗者となりました。

一方、銀行は勝者と言えます。今年第2四半期のアメリカの銀行の利益総額は422億ドル(約4兆2200億円)でした。2010年の同期と比べ倍増しました。メリルリンチ、ワコビア、ワシントン・ミューチュアルという大手金融機関は吸収されましたが、公的資金を得た多くの金融機関は完全に復活しました。低金利で苦しむ多くの国民とはあまりにも対照的です。

「危機はチャンス」としたヘッジファンドや富裕層も多くの利益を得ました。エマニュエル・サエズ氏とトーマス・ピケティ氏の2人の高名なエコノミストによる分析では、資産総額の上から10%のアメリカ人が国全体の富の半分を支配しています。これは、世界大恐慌後の10年とほぼ同じ水準で、富めるものはよりリッチに貧しいものはよりプアになったことを示しています。

 勝者とされる復活した銀行は大量のレイオフを実施しましたし、ヘッジファンドや富裕層の中でもリーマン破たん当初は大変な思いをしました。しかし、破たん以降に一貫して安定した収入を得ていたグループがいます。弁護士と会計士などのプロフェッショナルです。 

フィナンシャル・タイムズによりますと、ニューヨークのリーマン管理会社がこれまでに支払った弁護士費用などは20億ドル(約2000億円)、またロンドンの管理会社は10億ドル(約1000億円)が弁護士や会計士に支払われました。合わせて30億ドル(約3000億円)。リーマン破たんの最大の勝者は、弁護士と会計士だったのかもしれません。

[SEPTEMBER 16, 2013] No 0105365

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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