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2013/09/14「常識シリーズ48」日本人が感じたフェア精神


ヤクルト・スワローズのウラディミール・バレンティン外野手が、近く日本プロ野球ホームラン記録を塗り替えることが確実になった。13日の阪神戦では「56号がお預け」になったが、バレンティン外野手の打席が回る度に球場が沸いた。  

ニューヨーク・タイムズは、9月6日の朝刊一面で「日本人が変わった」と伝えた。この中でニューヨーク・タイムズは、米国でベーブ・ルースが崇拝されているのと同様に、日本では王貞治氏が尊敬を集めているとしている。その上で、過去に何人かの外国人がシーズン55本のホームラン記録を脅かしたが、その都度、記録を守るためピッチャーがストライクゾーンに投げなかったと指摘した。

しかし、ニューヨーク・タイムズは、日本人の考え方が変わったと報じた。新しい世代は、国民の英雄の記録を破る外国人に違和感を持っていないとしている。ジャーナリストで日本野球に関する著書が多いロバート・ホワイティング氏は「イチローが大リーグの記録を更新する度に賞賛した米国人をみた影響ではないか」と解説する。

確かに。イチローが今年8月21日に日米通算4000本安打記録を達成した瞬間、その前に米大リーグのシーズン最多安打記録を達成したとき、10年連続200本安打を記録した日。いずれも、イチロー本人が驚くほど、米国人がイチローを称えた。国籍、人種、民族に関わり無く成功者を賞賛する米国人の寛容さが日本人の心に響いた。

ニューヨーク・タイムズは、日本人を異質に扱う記事を過去に何度も掲載した。「偏見」と切り捨てる日本人も少なくない。今回の記事も日本の英雄を守ろうとする日本人像が描かれているが、記事全体は、日本人の中にフェア精神が根付いているというトーンだ。

カリブ海のオランダ領キャラソー島から来た29歳が日本人を変えたのか。日本人の心が既に変わっていたのではないかとみる。失われた20年と大震災も影響している可能性がある。大相撲での外国人力士の活躍の影響もある。スポーツの祭典、2020年東京オリンピックまで後7年。日本人のフェア精神がさらに広がっていくと想像する。

[SEPTEMBER 13, 2013] No 0105364

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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