2分でわかるアメリカ

2013/09/11サイパンに急増「出産観光」


アメリカ国籍を得るためにロサンゼルスに観光で来て出産する女性の話を時々聞きます。いわゆる「Birth tourism (出産観光)です。入国管理官も良く知っていて、入国を拒否される妊婦が少なくないと聞きます。

本土への入国が厳しくなった煽りで、アメリカの自治領で「出産観光」する外国人が増えているそうです。例えば、日本人にも人気の観光地であるサイパン。アメリカの正式の領土ではありませんが、アメリカ傘下にある「自治領」です。サイパンで生まれた赤ちゃんはアメリカ国籍を取得する権利があります。

サイパンに中国人妊婦が殺到しています。地元のサイパン・トリビューンによりますと、中国本土には少なくとも3つのウェブサイトと別に1社が、サイパンでの「出産観光」サービスを提供しています。サービス料金は最低料金が1万1000ドル(約110万円)で、別に病院の費用が1万ドル(約100万円)かかります。サービスには2ヶ月分の渡航費、アパート代と食費が含まれています。

中国のパスポートでは多くの国にビザ無しで行けません。生まれくる子どもにはアメリカ国籍、つまり自由を与えたいという願い。そして、一人っ子政策も影響してサービスを利用する中国人妊婦が後をたちません。

サイパンを訪問する中国人観光客は2010年から増え続け、今年の訪問者数は7月までに去年の合計に並びました。7月の1カ月間だけで前年度同月比49%増の1万1177人の中国人がサイパンを訪れました。週に8便あるチャーター機による入国で、ほとんどは「出産観光」の妊婦です。中国人は、ビザ無しで最大45日間サイパンに滞在できますが、それ以降も違法滞在し出産するケースが多いそうです。


お金を持った中国人の「出産観光」特需で、サイパンの病院や医療関連会社、旅行会社、ホテルは大繁盛しています。ただ、トラブルも増えています。出産後に病院代を支払わないで中国に帰国する女性が少なくありません。サイパンに1つしかない病院は、対策として「デポジット」を要求、パスポート申請に必要な出生証明書の発行手数料を現行の20ドル(約2000円)から5万ドル(約500万円)に引き上げることを検討しています。 

[SEPTEMBER 10, 2013] No 0105361

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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