2分でわかるアメリカ

2013/08/31「常識シリーズ46」アベノミクスと15のゼロ


安倍首相やアベノミクスが欧米メディアのヘッドラインになることがなくなった。福島第一原発の汚染水漏出に関する記事はあるが、日本経済に関する報道は安倍内閣誕生前に戻った。マーケットの期待も萎んだ。  

今月9日に日本経済が久しぶりに大きく報じられた。日本の国の借金が初めて1000兆円を突破したニュースと解説記事。財務省の発表では、国債と借入金、政府短期証券を合計した政府の借金残高は、今年6月末時点で1008兆6281億円になった。

ニューヨーク・タイムズは、「1,000,000,000,000,000 YEN」と見出しを打った。ゼロが15個。英語ではTrillionの次の単位であるQuadrillion。ブルームバーグは、日本の債務が「1 Quadrillion円を突破した」とのヘッドラインで報じたが、後で「1000Trillion円」に修正した。聞き慣れない単位に問い合わせが多かったようだ。

1000兆円という数字を聞いてピンとこないが、超のつく異常な水準。日本の経済規模を示すGDPは約500兆円なので、対GDP比は200%。地方自治体の借金を加えると250%になる。日本政府の年収である去年の歳入は約170兆円で、借金規模は約5.9倍。ギリシャ政府の借金の約30倍の大きさ。「財政の崖」を巡る議論が高まる米国の借金は約1600兆円。単純にみると米国の借金の方が大きいが、米国の経済規模は日本の3倍以上ある。

安倍政権の一部から異論が出て、来年からの消費税引き上げが揺れている。7月の参院選で勝った後に財政再建や消費税引き上げなどの難しい問題を速やかに進めると誰もが思った。しかし、選挙から1ヶ月経ったいま、不透明感が拭えない。安倍首相は景気刺激のため財政出動を増やそうとしている。世界第3位の経済大国の債務問題は、いま世界が抱える最大リスクとの声もある。

アトランタ地区連銀のエコノミストであるブラウン氏とUSCのジョインズ教授の共同研究では、日本の財政健全化のために消費税を2017年までに33%に引き上げる必要があるとしている。増税を5年遅らせた場合、消費税を37.5%にする必要があると結論づけている。

フォーブスは、米国の量的緩和が縮小された場合、世界の金利に上昇圧力がかかるとした上で、金利が2%上昇すれば日本政府の利払いは歳入の80%にまでなると警鐘を鳴らす。いまでも歳入の20%から25%が利払いに充てられている日本が、高齢化に伴う社会保障や福島原発事故の汚染処理などにお金が使えなくなる日が迫っている。

[AUGUST 30, 2013] No 0105353

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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