2分でわかるアメリカ

2013/08/30給料が上がらないのは何故


今月発表された小売大手各社の決算は消費の弱さを示しました。高級デパートのノード・ストローム、中級デパートのメイシーズ、ディスカウント小売のJCペニー。そして小売世界最大手のウォルマート。いずれも予想を下回り、業績見通しも慎重でした。

ウォール街のエコノミストの過半数は、アメリカの堅調な景気回復を背景に、FRBが来月にも量的緩和の縮小を開始すると予想しています。しかし、本当に景気回復は充分なのか。GDPの7割を占める個人消費を反映する小売各社の決算を見る限り、疑問が残ります。実際に株や不動産で儲けた話は時々聞きますが、給料が上がったという人は知りません。

サイフの紐が固い一因として、アメリカ人の収入が伸びていないことがあります。最新の労働省の統計では、民間企業の雇用者の先月の平均時給は8ドル77セントに留まり、リセッション(景気後退)が終わった2009年6月を下回っています。  

ウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカ人の収入が増えない理由について解説しています。

まず、企業は過去のリセッション期には給与を引き下げ、回復時に給与を上げていましたが、今回は違うということです。2007年から2009年のリセッションの際は、賃金カットではなくレイオフが優先され、残った従業員の給与は下がりませんでした。このため、景気は回復しても給与の伸びは鈍いままの状態になっています。

そしてグローバル化。技術革新で安い労働力の中国や新興国とアメリカ人が競うようになったため、給与が全体的に抑えられています。

2つ目は日本にも当てはまると思います。日米とも企業や富裕層は収入が増えましたが、労働者の給与は増えていません。日本と比べればアメリカの景気は強いと思いますが、FRBがみるより景気は強くないのではないかとこうした統計でも日々の暮らしでも感じます。

きょう全米50の都市で、賃金の引き上げを求めたファースト・フード店の従業員による大規模なデモが計画されています。東海岸のニューヨークを皮切りに西海岸のロサンゼルスにも拡大するとみられています。

[AUGUST 29, 2013] No 0105354

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.04.25 更新日本であまり報じられない問題日本のメディアがほとんど報じないのに、海外では大きく伝えられる。日本国内とは全く別の視点で報じられる。日本の役所が絡む問題、日本にネガティブな問題はこれらの傾向…
  • 2019.04.24 更新ソフトバンク孫氏、個人投資で大損社会現象と言えるほど騒がれたビットコイン。インターネット上の仮想通貨です。中国でのブームが去った後、日本の個人投資家が積極的に買ったとされています。2017年1…
  • 2019.04.23 更新不動産低迷、シドニー、ロンドン、ニューヨークオーストラリアの住宅価格の下落が顕著です。西端のパースはピークから18%下落。最大都市シドニーは14%ダウン。メルボルンの住宅価格は10%下げました。供給過剰、…
  • 2019.04.20 更新ビバリーヒルズ90210に住む、いくら必要アメリカ人の一部の間で「50/30/20ルール」という指針があるそうです。手取り収入の50%は必要経費。住宅ローンや家賃、食料品、ガソリンや公共料金、保険など生…
  • 2019.04.19 更新外為は通常で株は休場、わかりづらい祝日祝日は祝日。日本人なら誰でもそう思います。アメリカは違う。連邦政府が祝日に指定しているのに、地域によって休みにならないことがあります。逆に、連邦祝日ではないのに…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ