2分でわかるアメリカ

2013/08/24「常識シリーズ45」家電は米韓2強時代


 イタリア・ローマ市内にある世界最小の国家バチカン市国。世界20億人のカトリック教徒の総本山だ。世界遺産でもある。サンピエトロ広場の北側にはミケランジェロやラファエロの作品が豊富なバチカン美術館があり、世界中から観光客が訪れる。 

欧州、南北アメリカ、アフリカ、そしてアジアからの訪問客。スマートフォンやタブレットを持っている人が目立つ。アップルの製品がほとんど。バチカン美術館の入り口近くの大型スクリーンはサムスン製だ。日本の家電を持っている人はいなかったし、なかった。

フィリップスという巨人がいたため、欧州では日本の家電メーカーは他の地域ほど伸びなかった。しかし、ソニーの携帯電話はかつて欧州でも「最もクール」だったし、パナソニックも人気ブランドだった。いま、その面影はない。米国と韓国の家電が市場をほぼ独占しつつある。

米の高級ホテルの部屋には必ずと言っていいほどサムスンのテレビが設置されている。中級のホテルはLG。大手家電店の売れ筋テレビは、米ベンチャーのVIZIOだ。米サンディエゴには世界の家電メーカーの北米本社があるが、ソニーは大幅人員削減で駐車場がガラガラ、サムスンは満車状態で対照的だ。

Beats by Dr. Dreは米サンタモニカを拠点に2008年に高級ヘッドフォンを売り出したベンチャー企業。モバイル世代の間でヒットし、売上高は2010年の2億ドル(200億円)弱から10億ドル(約1000億円)に急増した。ウォール・ストリート・ジャーナルは、Beats by Dr. Dreが、台湾のスマートフォンのメーカー、HTCの株式25%を取得する方向で交渉していると報じた。ヘッドフォンからオーディオ全般、携帯端末など幅広い家電に業務を拡大するとしている。

圧倒的なスピードと資金力、そして時代にあった米国発の家電の勢いが止まらない。シリコンバレーだけでなく、南カリフォルニア発の家電も増えている。一方、サムスンとLGは、米グーグルなどと提携しながら世界シェアを確実に拡大している。家電王国・日本の時代は終わった。日本の大手家電店をみると見間違える。世界の家電業界はとっくに米韓2強時代になっている。

[AUGUST 23, 2013] No 0105350

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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