2分でわかるアメリカ

2013/08/01イタリアの人種差別


ヨーロッパの主要な都市では、駅のターミナルなどにたむろする黒人をよく目にします。アムステルダムのダム広場、ブリュッセルの南駅、パリの北駅周辺など。植民地だったアフリカ移民や職を求めて地中海を渡ったアフリカ出身者です。

 ローマの「テルミニ」と呼ばれる中央駅周辺にも多くの黒人がたむろしています。トスカーナ地方のビーチでも鞄や帽子を行商する黒人が目立ちます。 

「アラブの春」の影響もあり、モロッコ、アルジェリア、エジプトなど北アフリカからイタリアに渡る難民が増えました。去年末時点のイタリアの黒人は約100万人ですが、非合法の移民や難民を合わせると実際には何倍もいるとみられています。

今年春に発足したエンリコ・レッタ首相率いる連立政権で、イタリア初の黒人の閣僚が誕生しました。コンゴ生まれで18歳のとき医学を勉強するためイタリアに移ったセシル・キエンゲさん。移民融和政策を担当します。黒人が大統領のアメリカや多くの人種を抱えるイギリスでは「画期的な人事」と歓迎されたのですが、イタリアでは議論を呼ぶ結果になりました。

イタリアの大物政治家で野党・北部同盟のロベルト・カルデロリ氏は、イタリア初の黒人閣僚について「(セシル)キエンゲの写真を見ているとどうしてもオランウータンの顔を思い出してしまう」と党集会で発言しました。今月初めのことです。

そして今週。キエンゲ移民融和相が新たな移民政策の演説をしている最中、会場からバナナが何本も投げ込まれました。インターネット上では、キエンゲさんの裸の合成写真に「コンゴの猿」と名付けられた投稿など誹謗中傷が溢れています。

アメリカのデイリー・ビーストは、イタリアで起こっている黒人閣僚批判に関し「モダンな国がまだ過去に生きている」と激しく批判。イギリスのフィナンシャル・タイムズは「恥ずべき人種差別」だとのコラムを掲載しました。イタリア社会は、時代にまだ追いついていないのかもしれません。

[JULY 31, 2013] No 0105333

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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