2分でわかるアメリカ

2013/07/16全米が注目したジマーマン事件


フロリダの住宅街で、自警ボランティアとして巡回中のヒスパニック系白人のジョージ・ジマーマン氏が17歳の黒人青年と遭遇しました。黒いパーカーを着ていたトレイボン・マーティンさんと殴り合いになり発砲しました。トレイボンさんは死亡。去年の2月26日の夜のことでした。

フロリダでは、1年に1000件を超す殺人事件が発生します。ジマーマン氏の事件・裁判もその1つで、ジマーマン氏もトレイボンさんも有名人ではありません。また、ジマーマン氏の裁判は、アメリカ各地のどこにでもある地方の裁判にすぎません。アメフトのスーパースターのOJシンプソンの裁判やポップスターのマイケル・ジャクソンの死の責任を巡る裁判とは違います。

 しかし、フォックスが「メディアのサーカス」と呼ぶほど、ジマーマン氏の事件・裁判は、全米の主要メディアが連日大きく報じました。ソーシャル・メディアでも大きな議論を呼びました。 

きっかけの1つはオバマ大統領。「もし男の子がいたら、トレイボン君と似ていたと思う」と発言したことで、全米の注目が集まりました。オバマ大統領は黒人。「人種差別」はアメリカが抱える深刻な問題です。黒人同士もしくは白人同士の殺人事件であれば、これほど注目されることはなかったとみられます。

さらに、学校での銃乱射事件などが繰り返し起こっていることも、注目度を高める原因の1つです。犠牲者は未成年。裁判でジマーマン氏は、正当防衛だとして無罪を主張しました。これに対し、検察側は第2級殺人罪を求刑しました。

女性6人の陪審員は16時間に及ぶ話し合いの結果、「無罪の判断を下しました。ソーシャル・メディアのトラフィックが急増。全米各地で判決を不服とする大規模な集会が開かれました。オバマ大統領は「悲劇だった」と判決後に声明を発表しました。ジマーマン事件をきっかけとした議論はまだまだ続きそうです。

[JULY 15, 2013] No 0105321

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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