2分でわかるアメリカ

2013/07/10クーデターか否か


 エジプトのモルシ前大統領が軍により排除されたことについて、日本のメディアは「クーデター」もしくは「軍事クーデター」と報じています。これに対し、アメリカのメディアは「クーデター」という言葉を使っていません。

フランス語が語源の「クーデター」は、英語では「COUP(クーと発音)」とも呼ばれることもあります。一般的に暴力的な手段による政変を意味します。エジプトでは今回、民主的な方法で選ばれた大統領が軍により排除されました。正確には市民の退陣要求の拡大に軍が介入、軍が直接統治しない方針を示していることから国際政治的な定義が難しくなっています

アメリカは、2ヶ月前にエジプトへの年間130億ドル(約1兆3000億円)もの軍事支援を承認したばかりです。センシティブな問題になっています。130億ドルという規模は、対イスラエルに次ぐ2番目の規模です。1948年以来、アメリカのエジプトへの経済支援と軍事支援は合計で700億ドル(約7兆円)にのぼります。ヘリコプター、防衛ミサイル、探査システム、戦闘機、そして戦車を供与してきたほか、エジプト軍兵士の訓練や人的交流も活発でした。

今回の政変をアメリカが「クーデター」と定義した場合、法律的にエジプトへの支援が出来なくなります。オバマ大統領は「深く懸念している」との声明を発表しましたが、「クーデター」という言葉は使いませんでした。メディアもこうした背景を理解した上で、あえて「クーデター」という単語を使用していません。

エジプトでは、大規模な抗議行動を展開するモルシ前大統領支持と治安部隊が衝突し多数の死者、負傷者が出ています。副大統領や首相が任命されるなど体制作りが進んでいますが、最終的にどうなるのか極めて不透明です。「エジプトの将来はエジプト人が決める」としてアメリカは状況の行方を見守っています。

[JULY 09, 2013] No 0105317

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.19 更新17案件プラストランプ大統領が今週21日にフロリダに移動、16日間のクリスマスおよび年末年始の休暇に入るそうです。メキシコとの国境に壁を建設する予算で議会と対立、政府機関の一…
  • 2018.12.18 更新サンタクロース・ラリー来ない?クリスマスの前後から1月にかけて株式相場が上昇することを「サンタクロース・ラリー」と言います。クリスマスが近づくにつれ節税のための売りが減少、1月は新規の資金が…
  • 2018.12.15 更新トランプ大統領、任期全うできるか12月9日からの1週間は、トランプ大統領にとって就任以来で最悪の週だった。ワシントンポストのコラムニストが伝えました。確かに、トランプ大統領に打撃となるニュース…
  • 2018.12.14 更新アメリカのガラパゴス日本に帰国する際は非接触型ICカードを使っています。JR東日本のSuicaや首都圏の地下鉄やバスで利用できるPASMO。コンビニや自販機でも使えて便利だと思いま…
  • 2018.12.13 更新FRBの利上げけん制、最後のプッシュアメリカのトランプ大統領が11日、ロイターのインタビューを受けました。ウォール街で話題に。金融情報に強い通信社による単独インタビューのため、慎重に準備したことが…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ