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2013/07/06「常識シリーズ38」お金持ちは日本に行かない


親しいロシア人の富豪はモスクワ郊外に豪邸を建設中。屋内プールやサウナ、テニスコートがある豪邸。イタリア・トスカーナのリゾート地とドバイにも住居を持ち、ロサンゼルスでも家を探している。

イタリアはワインとヨットが楽しめる。ドバイは地理的に近く富豪向けのサービスも充実している。ロサンゼルスは一年を通して温暖で過ごしやすい上、「外国人」を意識せずリラックスして暮らせると友人が話す。ロサンゼルスにはロシア人だけではなく、欧州、中東、南米、そしてアジアの富豪が居を構える。米東海岸のニューヨークやマイアミにも、世界中の富豪が暮らしている。

ロンドンにはかつて中東の富豪が相次いで移住した。いまはロシア人。パリも同様。富の保全で定評があるモナコやスイスも富豪に根強い人気がある。

シンガポールに移住した富豪も多い。欧米の著名な投資家や米国のIT長者が永住権を得た。日本の資産家も暮らす。節税効果と充実したインフラが魅力だ。

世界のどこにでも行ける富裕層が移住先を決める際、最初に考えるのが受け入れ態勢。米国のEB-5と呼ばれるプログラムは、50万ドル、日本円に換算して約5000万円を投資し10人の米国人を雇用した人に永住権を与える制度。カナダは日本円で8000万円、英国は1億5000万円投資すれば長期滞在できる。資産家優遇のプログラムは、オーストラリアやキプロスなどにもある。最近では、富豪にやさしい移民プログラムをポルトガルが導入した。経済効果を見込んだものだ。カリブ海の英領セントキッツは4000万円の投資で居住することなく市民権を得られるため、中国人の富豪が殺到しているとウォール・ストリート・ジャーナルが伝える。

 査証や市民権のほか、国際的共通語である英語が幅広く通じること、教育や医療などのインフラ、国際的な金融機関へのアクセス、外国人を受け入れる社会、暮らしやすい気候も富豪が移住先を決める条件だ。 

日本政府は、一定の資産や年収がある外国人向けに、数年間の滞在を認める制度の作成に着手した。しかし、世界の富豪が日本に移るとは思えない。税金も高いし、英語もほとんど通じない。養母やメイドなど多くのスタッフが同居できる住宅がない。社会全体が外国人にはフレンドリーとは言えない。外国人の富豪には魅力的ではない。日本は、富豪が住みたい国ではなく、富豪が離れる国になっている。

[JULY 05, 2013] No 0105315

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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