2分でわかるアメリカ

2013/07/05米紙ではなく英紙を選んだ訳


長年の習慣として、約10の欧米の新聞のヘッドラインに毎朝目を通しているのですが、先月からもう1紙加えました。「ガーディアン」です。イギリスにある主要5紙の1つ。マイナーですが、あまりにも注目に値する報道が多いので毎日チェックすることにしました。

ガーディアンは創刊1821年と歴史ある日刊紙ですが、発行部数は16万部弱しかありません。日本の新聞の発行部数ランキングの46位の埼玉新聞より少なく、47位の佐賀新聞より少し多い程度の部数です。アメリカでいうとアーカンソー州の地方紙と同じ程度です。

そんなガーディアンが世界的なスクープを連発しています。2010年には、ウィキリークスから得たアメリカの機密外国文書を報道しました。ニューヨーク・タイムズもほぼ同時に報じましたが、ガーディアン経由の情報でした。翌2011年には、メディア王ルパート・マードックが率いるニューズ・コープ傘下のタブロイド紙が違法盗聴していたことを報じ、大きな社会問題に発展しました。

いまも世界中で報じられているアメリカの情報機関NSAが、携帯電話やネットの情報を入手・分析していたという衝撃的な事実を最初に報じたのもガーディアンでした。元CIA職員でコンサルタントとしてNSAの分析に携わっていたエドワード・スノーデン容疑者から得た情報を記事にしたものです。

アメリカの主要メディアなどと比べ圧倒的に影響力が劣るガーディアン紙がなぜ。スノーデン容疑者はニューヨーク・タイムズではなく、なぜマイナーなガーディアンを選んだのか。

まず、イギリスの新聞は中立報道が徹底されたアメリカの新聞と比べ政治的な主張をはっきりさせていること。ガーディアンは前のイギリスの総選挙では小政党の自民党を支持しました。また、第3の権力として政府を厳しく監視するジャーナリズムの精神が徹底されていることも背景のひとつです。本国イギリスだけでなく、文化的に近く影響力が大きいアメリカに関する報道を強化していることも理由とみられます。世界が読める英語メディアであることは最低条件だと思います。

面白いのは、スノーデン情報のリーク記事を書いたグレン・グリーンワルド氏はアメリカ人のジャーナリストです。ゲイを宣言していて「ブラジル人の夫」とリオデジャネイロに住んでいます。グリーンワルド氏の記事がアップされた日は、世界で700万人がアクセスしました。ネットの時代だからこそ、どこにいても世界的スクープを出すことができます。

ただ、ガーディアンの発行部数は減り続けています。世界のどの国でも起こっているように、イギリスでも新聞離れが進んでいるからです。ワシントン・ポストによりますと、ガーディアンは「オート・トレーダー」という中古車売買の姉妹誌の売上げで赤字を埋めているそうです。時代の流れに勝てないということでしょうか。



HAPPY FOURTH OF JULY!

[JULY 04, 2013] No 0105314
 
 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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