2分でわかるアメリカ

2013/06/28個人破産の原因ナンバーワン


高額の医療費が払えないために自己破産に追い込まれたアメリカ人が170万人もいるというショッキングな調査が発表されました。

インターネットで価格比較サービスを提供している会社の部門であるナードウォレットが、国勢調査、医療関連団体、そして連邦裁判所などの記録から分析したものです。

それによりますと、19歳から64歳のアメリカ人の3500万人が医療費未払いの督促状を受け取り、1500万人が預金全てを医療費の支払いに充てました。また、約1000万人が医療費負担のため、家賃や食費に困っているということも明らかになりました。さらに、2500万人のアメリカ人が、処方された薬を買えない状態になっていました。

今年自己破産を申請した理由の約20%が医療負担で、クレジットカードなどの多重債務を超え1位でした。働き盛りの35歳〜44歳の自己破産の28.9%、45歳〜54歳の26.4%が医療費負担を原因に破産しました。ナードウォレットは、破産にまで至らないアメリカ人の多くが、高額の医療費負担に苦しんでいる実体が明らかになったとしています。

アメリカには世界最高の医療技術と設備がありますが、同時に医療費の高騰が社会問題になっています。一人当たり300ドルから1000ドル程度の健康保険費が払えない人が多く、ちょっとした治療で 1万ドル(約100万円)以上を請求されることも少なくありません。保険がない場合、処方薬代が500ドル(5万円)から1000ドル(約10万円)になることもあります。異常な水準です。

国民皆保険を狙った「オバマケア」と呼ばれる医療制度改革が進んでいます。改革で保険会社が加入を拒否することは原則出来なくなりますが、保険費が20%超上がる結果に繋がっています。保険でカバーされない治療も多く、保険を持っていても自己破産に追い込まれる人がいます。処方薬の中身を2倍にし、ピル・カッターと呼ばれる薬を2つに割る道具で薬を半分にして節約している人もいます。

 世界最大経済のアメリカで起こっていることは、「お金のない人は死ね」ということかもしれません。銃犯罪と並び、現在のアメリカの最大の社会問題だと考えます。 

[JUNE 27, 2013] No 0105307

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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