2分でわかるアメリカ

2013/06/22「常識シリーズ36」独自すぎる日本の会社


典型的な日本企業と言える川崎重工業で「クーデター」が起きた。三井造船との経営統合を進めていた長谷川社長が、反対派の役員らに解任され、統合は白紙撤回された。

台湾のホンハイ精密工業によるシャープへの出資、シンガポールのウットラムによるTOBなど、双方のトップがいったん合意した統合や資本提携の破談が相次いでいる。

背景には日本独自の企業文化がある。会社社会主義とも言われる。川崎重工が解任劇後に発表した文書では、「コーポレート・ガバナンス及びコンプライアンスの見地より不適格」と統合を進めた社長を糾弾している。文書を読む限り、長谷川社長が会社法違反をしたことが原因としている。

多くの疑問が残る。株主のための白紙撤回だったのか、根回しがなかったことへの怒りではないのか、成長分野へのシフトを目指して三井造船との統合を目指すことが許されないのか。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは「日本政府が進める成長戦略に含まれている悪名高い過剰な製造業の統合への反発が深刻化している」と冷ややかに報じた。ジャーナルは、日本には1つの業種に企業数が多すぎると指摘する。LCDテレビの日本メーカーは5社、韓国は2社、アメリカとヨーロッパにはそれぞれ1社しかない。 

日本以外の国では、過剰な場合は統合が進む。重複する部門を削減できるため、1+1の規模は1.5になるが、利益は2.5になる。日本では、人員削減が社会通念上極めて困難なため1+1の規模は2のまま効率の悪さと軋轢で利益が下がることもある。合併後も、2社もしくは3社の給与体系がそのまま残る「笑えない」ことが実際に起こっている。過剰で低利益のまま停滞、やがて消えていくしかないのか。会社文化と経営者の意識を変えない限り、政治が動いても日本企業の競争力の向上は難しいかもしれない。

川崎重工や三井造船に代表される日本の造船会社のシェアは、かつて世界の半分を占める圧倒的な強さを誇った。しかし、いまや世界シェアは18%しかない。韓国と中国の造船会社が高い競争力で世界をリードする。統合の白紙撤回で、挽回のチャンスが遠退いた可能性がある。

[JUNE 21, 2013] No 0105303

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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