2分でわかるアメリカ

2013/06/21ミニバブルの兆し


ロサンゼルス郊外で不動産取引をしている知人から聞いた話です。「日中に女性が1人で歩けないほど治安の悪い地域の住宅に20も30もオファーが入っている」。2006年から2007年にかけてアメリカの不動産バブルが弾け、ロサンゼルス周辺でも買い手に有利な「バイヤーズ・マーケット」が続いていました。しかし、去年あたりから売り手に有利な「セラーズ・マーケット」になっています。

去年の全米の不動産価格は前年比で約6%上昇しました。業界の予想を上回る上昇率です。今年に入っても上昇が続き、一部の地域では妥当とされる価格を大幅に上回る価格に上がりました。不動産情報のトゥルーリアによりますと、ロサンゼルスでは平均で5%割高、売買された物件の中間値は今年1月の42万ドル(約4200万円)から60万ドル(約6000万円)に急上昇しました。また、近郊のオレンジ・カウンティでは平均9%割高、テキサスのオースティンでは7%の割高になっています。

いずれの地域も失業率は高く、所得が増えていません。不動産価格だけが高くなっています。投資会社や富裕層、それに中国人らが現金で買い漁っているとの指摘が多くあります。カリフォルニアの現金による不動産売買は記録的な水準です。「ファースト・バイヤー」と呼ばれる初めて住宅購入を計画している人が買えなくなっています。

不動産以外の分野にも「歪み」が出始めています。例えばワイン。株式などに変わる金融商品として欧米を中心に多くのワイン・ファンドが組成されました。ニッチな商品ですが、欧米の富裕層や中国人が金融危機直後から多額の投資をしました。

フィナンシャル・タイムズによりますと、ケイマン籍のビンテージ・ワイン・ファンドは2008年に1.1億ユーロ(約143億円)まで膨らみました。今年に入り減少に転じました。ワイン・ファンドが、ボルドーなどを買い漁ったため値段が高騰、利回りが大幅に低下し解約が増えています。「バブルが弾けた」状態になりつつあります。

 全米リアルター協会が20日発表した5月の中古住宅販売は518万戸となり前月比4.2%増えました。予想を大幅に上回りました。価格中央値は大幅に上昇しました。ウォール・ストリート・ジャーナルは、「バブルという声があるが、いまだ警戒する水準にはない」と報じていますが、ロサンゼルス周辺をみる限り、「ミニバブルの兆しが出ていると感じます。 

[JUNE 20, 2013] No 0105302

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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