2分でわかるアメリカ

2013/06/20高額離婚だけの話ではなさそう


ルパート・マードック氏と言えば、オーストラリアの地方紙のオーナーから米英の主要新聞やハリウッドのフォックス・スタジオまでアメリカ、イギリス、香港、そしてオーストラリアなどに多くのメディアを展開するニューズ・コーポレーションの創業者で現役の会長兼CEOです。

 メディア界に強い影響力を持つマードック氏の動向が今、大きな注目を集めています。14年連れ添った中国出身で元ジャーナリストのウェンディ・デンさんとの離婚をニューヨークの裁判所に申し立てたからです。 

マードック氏は「熱しやすく冷めやすい」人柄で知られています。男女関係のことです。香港で初めて会ったウェンディさんに一目惚れ。わざとワインをズボンにこぼして「お近づき」になったそうです。2回目の離婚をしたばかりの頃でした。

前の離婚では、アン元夫人に1億1000万ドル(約110億円)の現金を含む17億ドル(約1700億円)の慰謝料を支払い「過去最高額の離婚」記録を塗り替えました。今回の離婚でも慰謝料が高額になるとみられ、当初の報道は「高額離婚」が一人歩きしました。

しかし、時間が経つにつれ、今回の離婚には多くの背景があることがわかってきました。

まず不倫です。といってもマードック氏ではなく、ウェンディ夫人の方。相手はイギリスの元首相。複数のメディアがウェンディさんとトニー・ブレア元首相が「ロマンティックな関係にあった」と伝えました。真偽は確認できませんが、イギリスではニューズ傘下のタブロイド紙の盗聴スキャンダルがあっただけに「少しキナ臭い」印象を受けました。

もう1つは後継問題です。マードック氏は現在82歳。会社は今月末に出版部門のニューズ・コープと映画・テレビの21世紀フォックスに2分割する計画です。分割後もマードック氏がトップに君臨する予定ですが、その後どうなるかは不透明です。というのも、ピーター・チャーニン、ゲイリー・ギンズバーグといった多くの大物後継候補が相次いで辞任したからです。さらにマードック氏には6人も子どもがいて、問題を複雑にしています。今回の離婚は、最後に誰もが殺される映画ゴッド・ファーザー」のようだとの意見もあります。ウェンディさんとの離婚も、その動きの一環ではないかとの陰謀説もあります。

今回の騒動について、経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルとスキャンダル報道が特徴のニューヨーク・ポストは冷静に事実だけを伝えています。考えてみれば、両紙ともニューズ社がオーナーですから、当たり前と言えば当たり前ですね。

[JUNE 19, 2013] No 0105301

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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