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2013/06/18衝撃のプロジェクト


帝政ロシア末期の聖職者グレゴリー・ラスプーチンは、サンクトペテルブルグで市民に病気治療をして信者を増やしました。ニコライ大公の妻アナスタシアに気に入られ、政治に深く関与するようになります。独特の風貌から怪物と呼ばれ、「不死身」伝説まで生まれました。裏で政治を牛耳ったことなどでロシア国内の評価は高くありませんが、特異なキャラクターから映画や小説になりました。

「ラスプーチン」の小説を読んだためか、それともジェームズ・キャメロン監督の3D映画「アバター」の影響かわかりませんが、「不死身」を目指す32歳のロシア人男性が注目を集めています。ニューヨーク・タイムズの週末版ビジネス欄に写真付で紹介されました。

ドミトリー・イスコフ氏は、オンライン・メディアで大成功しました。ロシアのメディア王と呼ばれ、巨額の富を築きました。お金に困らなくなったイスコフ氏は新たなベンチャーを起業。名付けて「2045年プロジェクト」。アバター、つまり自分の分身をつくり、そこに脳の情報をコピーするというものです。

プロジェクトは4段階に分かれます。第1フェーズは、等身大のロボットを7年かけて作ります。2020年から2025年の第2フェーズでは、脳の情報を全て取り出します。そして第3フェーズで、全ての脳の情報をロボットに移します。タイムテーブルは2030年から2035年。最後の第4フェーズで、人体からロボットに完全移動するということです。目標は2045年まで。

ドミトリー・イスコフ氏は真剣で、先週末にはニューヨークのリンカーン・センターでプロジェクトの全容を公開しました。プロジェクトには、ハーバード、MIT、UCバークレーなど名門大学の科学者が参加しています。また、アレン&CO、シティグループ、バークレイズやベンチャー・キャピタル数社がスポンサーになっています。

プロジェクトが成功すれば、「コンピュータの中に生きる人間」が未来に誕生することになります。ラスプーチンの伝説でもなく、映画「アバター」のような空想の世界ではなく、現実になるかもしれません。32年後です。プロジェクトが「常識」を変える可能性があります。  

[JUNE 17, 2013] No 0105299

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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