2分でわかるアメリカ

2013/06/05資産家はさらにお金持ちに、持たざる者は・・・


 ビルと久しぶりにランチをしました。「最近、サンタモニカでテスラがやたら目につく」と話しかけたところ、「実は、注文していたテスラがついに届いた」と
の答え。ビルが買ったのはテスラの最新車種のモデルS。ジャガーとアストン・マーチンを足して2で割ったようなスタイリッシュな電気自動車です。

ベースプライスが5万4000ドル。バッテリーを大きめにアップグレード、車高を変更できるオプションなどをつけ総額は8万4000ドルしたそうです。日本のエコ減税のような優遇措置があるため1万ドルが還付される予定で、最終的な負担額は7万4000ドル(約740万円)になるとのこと。


「高い」と思ったのですが、話には続きがありました。ビルは去年、テスラのショールームにはじめて行った際に「成長性」を感じ、テスラの株を買いました。今年に入りテスラの株価が急上昇し10万ドル(約1000万円)の利益が出たそうです。モデルSの購入代金をテスラ株で稼いだだけでなく保険代など他の経費も全て出た計算。「すばらしい」の一言。余裕のある人は違うと思いました。


多少の乱高下がありますが、アメリカの株式相場は年初から大幅に上昇、株式投資が盛んなアメリカ人は大いに潤いました。特に資金に余裕のある人は大きな利益を得ました。ファンド・マネージャーが円相場の急激な変動で大儲けしたという話も耳にします。


「お金持ちはさらにお金持ちになった」と感じることが増えました。ウォール街関係者が多く住むニューヨーク郊外のハンプトンでは、家賃が100万ドル(約1億円)もするサマーハウスが「予約がとれないくらい人気」だとCNBCが伝えています。夏の間だけ、約3カ月間の家賃です。ビバリーヒルズのハイエンドのレストランはいつも満席。不動産をまとめて現金で買う人が目立ちます。


反面、中低所得者層が多く住むロサンゼルス郊外のショッピングモールでは閑古鳥が鳴いています。買い物客数に変化はないものの、売上が去年と比べ大幅に落ちていると知人から聞きました。花屋や大衆的なレストランの廃業もよく目にします。


アメリカの経済全体は回復基調にあり、拡大していると思います。しかし、富の配分の不均衡が一段強まっています。中低所得層が富裕層の仲間入りする「アメリカン・ドリーム」が昔の話になりつつあります。いまのアメリカは、富が中間層と低所得者層に回らない深刻な問題を抱えています。

[JUNE 04, 2013] No 0105290

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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