2分でわかるアメリカ

2013/05/31スプリント買収計画と中国の脅威


ソフトバンクのアメリカ携帯電話3位のスプリント・ネクステル買収計画について、対米外国投資委員会はきのうまでに「問題はない」との判断を示しました。衛星テレビ会社のディッシュ・ネットワークが対抗する形で買収額を引き上げる提案をしているため予断を許しませんが、ソフトバンクの買収計画が大きく前進した形です。

承認した対米外国投資委員会は、外国企業がアメリカ企業を買収する際に安全保障上の問題がないかを審査する政府機関です。審査の中で大きな議論を呼んだのは、ソフトバンクが日本の会社だからではなく、スプリントの関連会社クリアワイヤが中国の通信機器メーカーのファーウェイの製品を使っている点です。アメリカ政府は、携帯電話の電波を受信するアンテナなどを使って中国が「スパイ」する懸念があるとみているのです。

アメリカのメディアによりますと、承認には、中国の通信機器を2016年末までに排除するという条件がつきました。アメリカ政府は中国のサイバー攻撃に神経質になっていて、スプリントの取締役会に国家安全保障担当者を置くこと、海外のメーカーの製品を使う場合は政府の承認を得ることなども条件になりました。

対米外国投資委員会の承認が下りた同じ日、中国の深センに拠点を置く双匯国際が、アメリカの食肉加工最大手スミスフィールドを買収すると発表しました。現金47億ドル(約4700億円)と、中国企業によるアメリカ企業の買収としては過去最大です。

中国では最近、上海の川で大量の豚の死骸が見つかりました。他の都市では、偽物の羊の肉が出回りました。「食の安全」が社会問題になっているため、双匯国際はアメリカ産豚肉やハムなどを輸入したい考えです。ただ、買収により中国産の肉がアメリカに大量に入ってくるとの懸念が早くも広がっています。ソフトバンクのスプリント買収計画を調べた対米外国投資委員会がスミスフィールドの買収計画を審査することになるとメディアが伝えました。

 中国企業のアメリカ進出は、今後さらに加速することが予想されます。1980年代から1990年はじめにかけて日本企業への脅威論が強まりました。アメリカ企業に影響する、職が奪われるというのが脅威論の背景でした。それと比べ中国の脅威はより深刻で、「安全保障」を脅かす重いものだと言えます。 

[MAY 30, 2013] No 0105285

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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