2分でわかるアメリカ

2013/05/30海外FX投資家に打撃


 昨日の「知る」のコーナーでお伝えしたマネー・ロンダリング疑惑。起訴に踏み切ったアメリカ連邦検察は、コスタリカに本拠地を置くLiberty Reserve(リバティ・リザーブ)の口座やドメインを閉鎖しました。 

起訴状によりますと、世界中のカード詐欺や麻薬取引、児童ポルノなど非合法に得た資金を海外に送金する際にリバティ・リザーブが積極的に使われていました。過去7年で60億ドル(約6000億円)と過去最大級のマネー・ロンダリングとされています。

アメリカ連邦検察の告発が、世界の犯罪組織に打撃を与えたことは間違いないとみられます。しかし同時に、海外のFX投資家にも大きな影響を与えることになりそうです。

逮捕されたリバティ・リザーブのトップ、アーサー・バドゥスキー容疑者はウクライナ出身。旧ソビエトのウクライナでは、先進国と比べるとドルやユーロなどのハード・カレンシーの送金が容易ではありません。同様に、本社があったコスタリカを含めた南米やアジアの一部、さらにはアフリカも同じ事情を抱えています。

こうしたことから、マレーシア、パキスタン、アルジェリア、ナイジェリア、ブラジルなどでは、リバティ・リザーブによるドル送金、ユーロ送金が主流になりました。手数料が最大2ドル99セントと安いことも普及を後押ししました。マネー・ロンダリングにリバティ・リザーブが使われたのは送金の匿名性にあるとされていますが、これらの国では幅広い送金に利用されていました。

リバティ・リザーブは、FX口座への送金にも使われていました。Exness、FXopen、 FxNetなどキプロスやニュージーランド、ロシアなどを拠点にする多くのFX業者が、リバティ・リザーブによる送金を受け付けていました。ドバイを拠点とするFX会社は、月に25万ドルから50万ドルのリバティ・リザーブを経由した送金がアジアやアフリカからあったと業界情報会社が伝えています。ネット証券などと異なり、途上国を含む100カ国以上に顧客を持つFX会社があり、リバティ・リザーブによる入金の要望が強かったのではないかと想像します。

金融当局の規制が厳しいアメリカやイギリス、日本などへの影響はないと思いますが、一部の国のFX業者は、リバティ・リザーブによる送金・顧客情報の開示が求められそうです。ただ、犯罪に絡む資金ではなく、ほとんどが途上国の投資家による単純な送金であった可能性が高いとみられます。

[MAY 29, 2013] No 0105284

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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