2分でわかるアメリカ

2013/05/29安い服には訳がある


 きのうまでメモリアルデーで3連休でした。アメリカ人にとって、メモリアルデーは「夏のはじまり」で、ビーチなどが混み合いました。「メモリアルデーセール」も恒例行事です。少しモールを覗きましたが、凄い人でした。特に夏物の洋服が早くも大幅にディスカウントされていました。 

いつも感じるのですが、アメリカは洋服が特に安い。食料品などの値上がりが目立ち始めているのですが、洋服だけはいつも安いです。

大量消費国のアメリカの「安い服」を支えているのは海外の下請け工場です。「工場」というと中国を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は中国より最低賃金が低い国があります。バングラデシュです。国が定めた最低月給は38ドル(約3800円)。世界銀行の統計では世界最低です。

世界中で売られている欧米の有名ブランドや大手小売チェーンのプライベート・ブランドの洋服の多くは、バングラデシュでつくられています。小売価格が46ドル(約4600円)のシャツは、バングラデシュの下請け工場は10分の1の約4ドル45セント(約445円)で受注します。輸送費や宣伝費などもかかりますが、セールで50%引き、70%引きで売れるのは、原価率が低いからです。

アパレル業界では常識となった「製造=バングラデシュ」に過去1ヶ月、大きな注目が集まりました。きっかけは4月24日にダッカ郊外で起きたビルの倒壊事故です。8階建てのビル「ラナ・プラザ」には5つの縫製工場が入居、作業中だった1127人が死亡しました。不安定な土地に建てられ安全基準などを無視したビルのオーナーが責任追求されている他、コスト削減を強制した欧米の大手アパレル会社などへの批判が高まりました。ABCニュースによりますと、ベネトン、チルドレンズ・プレイス、JCペニーなどが倒壊したビルの工場に発注していました。

倒壊事故以外にも火事などが多発し多くの犠牲者が出ているため、ヨーロッパのメーカーなどが中心となって外注先の工場安全協定がつくられました。工場の修繕などのため、1社当たり年50万ドル(約5000万円)負担する内容です。5月15日が期限だったのですが、アメリカ企業の多くは訴訟や株主からの反対を考慮し、協定への署名をしませんでした。

バングラデシュでは、H&M、ZARA 、MANGOなど世界展開する多くのヨーロッパのブランドが製造しています。アメリカでは、GAPやウォルマートなどが大量発注しています。経営と外注先の安全の問題は複雑で簡単ではなく、世界的な論争が続きそうです。

[MAY 28, 2013] No 0105283

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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