2分でわかるアメリカ

2013/05/22バーチャル冷戦


尖閣諸島に絡む中国船による領海侵犯は日本の安倍政権にとって大きな頭痛の種。また、北朝鮮が3日連続で短距離ミサイルを発射したとの情報もあり、日本周辺が緊張しています。

 尖閣諸島を巡る日中の紛争と北朝鮮の挑発は、アメリカにとっても懸案事項です。しかし、オバマ政権がアジア太平洋地区で最も懸念しているのは「サイバー攻撃」です。 

今年2月、セキュリティ会社のマンディアンが、中国の人民解放軍内のハッカー・グループが100社以上の重要機密情報を盗み出していたとする報告書を公表しました。

2009年にはコカコーラのコンピュータに侵入、同じ時期にコカコーラが買収する方向で進めていた中国の大手飲料メーカーの買収が決裂しました。2011年には、中国のハッカーがデータセキュリティ会社から情報を盗み出し、顧客である戦闘機などを製造するロッキード・マーティンの機密情報にアクセスしたとされています。これらは一例に過ぎず、メディアを含めた企業とアメリカ連邦政府機関まで幅広く不法侵入が確認されています。いずれも、中国発のハッカーだとみられています。

報告書の発表後、中国のサイバー攻撃が大きな政治問題と社会問題になったため、その後不法侵入がなくなったとされていました。ところが、自らも攻撃の被害者となったニューヨーク・タイムズは、中国のサイバー攻撃が再びはじまったと報じました。

それによりますと、上海市のはずれにある12階建ての白いビルに拠点を置く「ユニット61398」が活動を再開。セキュリティ会社と政府筋は、具体名は出せないが、前回とほぼ同じターゲットが狙われたと話しています。

1980年代末のベルリンの壁崩壊まで続いた米ソの冷戦時代には、007に象徴される「スパイ」が多く存在しました。スパイは空想ではなく本当に多数存在しました。あれから20年以上が経ち、アメリカは大国「中国」の脅威にさらされています。変装や暗号より「見えない」攻撃が深刻化することは間違いありません。「バーチャル冷戦」と言えるかもしれません。習近平国家主席が来月、就任後はじめてアメリカを訪問します。米中首脳会議の「隠れた議題」のひとつになりそうです。

[MAY 21, 2013] No 0105278

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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