2分でわかるアメリカ

2013/05/17スキャンダルと繰り返される歴史


先週末から今週にかけてオバマ政権の周辺でスキャンダルが相次ぎました。

日本の国税庁にあたるIRSが政府に批判的な団体に集中的な監査を実施していたこと、最大手の通信社APの約20人の記者の通話を司法省が無断で聞いていたことが明るみに出たこと、さらにリビア第2の都市ベンガジで起きたアメリカ公館襲撃事件で事実を隠蔽していたことも明らかになりました。クリーンなイメージがあったオバマ政権が一気にスキャンダルのデパートになりました。

ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官は、厳しい質問に「ノーコメント」を連発、記者の政権批判の火に油を注ぎました。オバマ大統領が属する民主党の議員の一部でさえ、あまりの酷さに衝撃を受けています。一方、財政問題などでオバマ政権と対立している共和党にとっては「最高のチャンス」が巡ってきました。  

1990年代後半にも類似した状況がありました。当時のビル・クリントン大統領が研修生のモニカ・ルインスキーさんと執務室で信じられない不適切な行為を繰り返していたことが表面化しました。大スキャンダルに発展しました。景気が好調だったことも幸いして罷免には至りませんでした。ただ、クリントン政権は野党の共和党に大きな譲歩を余儀なくされました。当時、クリントン政権は、財政への負担となっていた年金(ソーシャル・セキュリティ)の改革を進めていましたが、共和党の要求を受け入れて断念しました。

ワシントン・ポストは「何故ワシントンのスキャンダルがソーシャル・セキュリティを救う」と題する記事の中で、相次ぐスキャンダルで譲歩を迫られ、オバマ政権が進めているソーシャル・セキュリティと高齢者向け医療制度が現状のまま続くかもしれないと主張しました。「歴史は繰り返す」と言いますが、15年前に起きたことが今回も繰り返されそうで不思議な気がします。

[MAY 16, 2013] No 0105275

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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