2分でわかるアメリカ

2013/05/11「常識シリーズ30」円安が世界に与えた衝撃


ダウジョーンズの外国為替のエディターであるマイケル・ケーシー氏が5月8日、「日銀が自国の問題を輸出。世界のバランスがシフトした」と題するコラムを書いた。ケーシー氏は、日本のデフレが貿易相手国に移るという副作用を起こしていると主張した。

去年9月に78円に上昇した円は100円を突破して下落した。トヨタは2014年3月期の純利益が42%増の1兆3700億円に達するとの強気の見通しを示した。日経平均株価は1万4000ポイント台を超え、100円突破で上げが加速した。

ウォール街では、ウィズダムツリーのDXJと アイシェアのMSCIジャパンの2つの日本関連のETFが急騰、2013年のETFのベストセラーに躍り出た。世界のマーケットが円安を称えているようだ。

 4月に米国ワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議では日本の大胆な金融緩和措置を歓迎、批判は予想外に少なかった。安倍晋三首相は、積極的な金融緩和は国内向けの対策だと繰り返し主張。しかし、日本の政策による「悪い」影響が世界中で出始めた。 

日銀がFRBと同じペースで資金を供給することで、アジア各国には巨額の資金が流入した。フィリピンやタイの通貨が急騰、輸出競争力が大幅に落ちた。韓国とオーストラリアの中銀は今週、通貨高を抑えるため予想外の利下げを決めた。ニュージーランドの中央銀行は異例のニュージーランドドル売り介入を実施。スウェーデンのボルグ財務相は通貨クローネ高に強い懸念を表明、対策をとる可能性を示唆した。FRBと日銀の金融緩和でユーロが割高になっているとの指摘もある。

円が100円を突破した5月9日のニューヨーク市場で円を売った90%はヘッジファンドに代表される投機筋だったと指摘されている。静かだったヘッジファンドが再参入し、円相場は今後も大きく動く可能性がある。急速な円安は世界のバランスを崩したが、さらなる円安で世界がどうなるか、誰もが正確に予想できない。日銀が世界に輸出した副作用が致命的になるリスクがあることを否定できない。

[MAY 10, 2013] No 0105271

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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