2分でわかるアメリカ

2013/05/04「常識シリーズ29」原発と放射能とトイレ


 日本のメディアは政府や権力にバイアスがあると思わせることが少なくないと前回指摘した。ゴールデン・ウィーク中は、官庁からの発表がほとんどないため、「政府発表」をもとにしたニュースが通常より少なかった。替わりに、安倍首相をはじめ閣僚らの外国訪問をNHKなどが大きく伝えた。 

「他にニュースはないのか」。たまたま、NHKの昼のニュースを見た妻があきれ顔でつぶやいた。米国時間の夜に同時放送されるNHKのお昼のニュースは、岸田外相のペルー訪問を伝えていた。ロンカグリオロ外相と会談、日本の簡易トイレを購入する資金など14億円を無償協力する政府開発援助(ODA)事業に双方が署名したと報じた。ハイテクのトイレらしいが、外務省の広報ではないか。

米国の主要紙やネットワークTVの全国ニュースが、要人の外国訪問を報じることはほとんどない。オバマ大統領が前日にメキシコを訪問したが、ほとんど報じられなかった。安全保障など国益に大きな影響を与える要人の訪問は例外として、よっぽどのことがない限り米国で「外遊」がニュースになることはない。対照的に日本では、役所の課長らが出席する実務レベルまでニュースになる。主要国では極めて珍しい。

岸田外相が南米外遊中の4月30日、ニューヨーク・タイムズは、福島第一原発の汚染水漏れが深刻で新たな危機を招く恐れがあると大きく報じた。専門家が警告しているのに、日本政府の役人などは事故前の閉鎖的な姿勢に戻ってしまったと伝えた。

一方、ゴールデン・ウィークを利用してロシアに続いて中東を訪問した安倍首相は2日、アラブ首長国連邦をムハンマド副大統領兼首相と会談し、原子力協定で合意した。協定の署名は福島第一原発事故後初めてで、日本製の原発輸出再開へ道が開けたと日本の各主要メディアが大きく報じた。

同じ2日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、安倍首相のもとで青森の六ヶ所村にある大規模な核燃料再処理工場の操業に向け準備を進めているが、北朝鮮などへの核技術の拡散や核兵器の開発競争を招くとしてオバマ政権が懸念していると報じた。

[MAY 03, 2013] No 0105266

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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