2分でわかるアメリカ

2013/04/24アメリカンドリーム砕くウォール街


 全米不動産協会がまとめた3月の中古住宅販売件数は、年率換算492万戸でした。2月と比較して0.6%減少。3カ月ぶりのマイナスです。ただ、前年同月比では10.3%増加しました。そして、販売価格は中央値が18万4300ドルと11.8%上昇しました。 

販売件数が伸び悩んでいるのに、価格が上がっている。一体どういうことなのか。ヒントをワシントン・ポストが伝えています。

ポストによりますと、ヘッジファンド、ウォール街の投資家、機関投資家が、個人向け住宅を買い漁っています。連日、何百件もの不動産にオファーを出しています。フォート・ローダーデールなどフロリダの一部では、買いオファーの70%に達するそうです。高級物件に留まらず、低価格物件を含め幅広く投資しているそうです。

2006年にピークを打ったアメリカの不動産は、金融危機の影響もあってバブルが弾けました。価格は急落、差し押さえ住宅が急増しました。ようやく住宅市場が回復したとされていますが、実は、買っているのは個人ではなく機関投資家。つまり、ウォール街の投資が全米の不動産相場を押し上げているのです。

住宅価格の統計で定評のあるケース・シラー住宅価格指数によりますと、住宅価格は全米平均で去年は約8%上昇しました。特にバブル崩壊の影響が大きかったアリゾナのフェニックスでは23%も上昇、ネバダ州ラスベガスは15%、フロリダのマイアミは11%上昇しました。

一方、低所得者のアメリカ人はローンの審査が厳しいこともあり、住宅を買えないでいます。「高嶺の花になった」というより、ウォール街関係者に押しやられているという感じです。

バブル崩壊、そして金融危機は、住宅ローン関連の証券投資が破たんしたことがきっかけでした。バブル崩壊から5年以上が経過、今度は現物投資がバブル化しつつあります。住宅市場の回復は、アメリカ経済の最も明るい部分とされています。しかし、その中身は決して健全とは言えません。

[April 23, 2013] No 0105258

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.01.23 更新生活水準下げました我が家では、去年の第4四半期(10-12月)から生活水準を大幅に下げました。食費を切り詰め、無駄な買い物をしなくなりました。今年はクルマのダウングレードを考えて…
  • 2019.01.19 更新NY連銀総裁の警告不法移民を減らし、麻薬取引や人身売買などの犯罪を撲滅するためメキシコとの国境にスティール製の壁を建設するとのトランプ大統領の公約。国境警備の強化には賛成するもの…
  • 2019.01.18 更新ウォール街、株強気派増える17日のニューヨーク株式マーケットでは、モルガンスタンレーの決算が予想を下回ったことなどが影響し売りが先行しました。ただ、下げ幅は限定的。後半の取引で上昇に転じ…
  • 2019.01.17 更新メイ首相続投、5つのシナリオメイ首相が提示したEU離脱協定案の賛否を問うイギリス議会下院の投票が15日夜実施され、反対多数で否決されました。メイ首相が率いる与党・保守党からはEU離脱派と残…
  • 2019.01.16 更新政府閉鎖のネガティブ効果メキシコ国境の壁建設の予算をめぐるトランプ大統領と民主党の対立が続いています。解決に向かう兆候はまったくみられません。9つの省庁の予算が切れ、政府機関の約25%…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ