2分でわかるアメリカ

2013/04/23爆弾テロとチェチェン


アメリカ東海岸ボストンで起きた爆弾テロ事件から丸1週間。ボストンでは、事件が発生した午後2時半に、犠牲になった3人に市を挙げて黙祷する予定です。

FBIなど捜査当局は、犯人のチェチェン系移民の兄弟のうち生存したジョハル・ツァルナエフ容疑者から動機を聞くなど、事件の背景を詳しく捜査する方針です。ただ、逮捕の際に喉などに重傷を負い、筆談による聴取のため、本格的な追求には時間がかかりそうです。

 死亡したタメラン・ツァルナエフ容疑者と弟のジョハル・ツァルナエフ容疑者の2人は、チェチェン系の過激派と関連性が指摘されています。また、マラソンでのテロで使用された圧力鍋タイプの爆弾4つと250発以上の弾丸が見つかるなど別のテロを計画していた可能性が高いことなどがわかりました。 

容疑者2人のルーツであるチェチェンは、ロシア南西部コーカサス地方に位置しています。首都のグロズヌイとは「恐ろしい」という意味があります。「怖い王様」の「イワン雷帝」から来ています。

イスラム教徒のチェチェン人は、旧ソビエトのスターリン時代に「ナチスドイツ」に関与したとされ粛正を受け、50万人以上が殺害されたとされています。名誉回復しますが、ゴルバチョフ時代に独立を宣言しました。新生ロシアのエリツィン政権とプーチン第1政権時代、ロシア連邦政府との大規模な紛争が2度起きましたが、現在は落ち着いています。

容疑者の兄タメラン氏は去年、半年間に渡りチェチェンに滞在しています。この間にイスラム過激派に接近した可能性があります。その前の2011年、ロシアの情報機関FSBがCIAなどに情報を求めたことがあります。容疑は「シロ」でしたが、今回はアメリカ側からロシア当局に情報提供を求めています。ただ、米ロの情報機関の協力関係は弱く、情報が得られていないようです。ロシア政府は、今回の事件で距離を保っています。

ツァルナエフ兄弟の父親と兄のタメラン氏は2002年に観光ビザでアメリカに入国、政治亡命を申請、市民権を得ました。遅れて合流した弟のジョハルは2009年に市民権を申請しました。アメリカ議会では「移民法」の抜本的な改革を審議していますが、今回の事件を受け、上院議員の一部が審議を延期すべきだと主張しています。

全米を震撼させた爆弾テロ。事件の全容解明にはまだまだ時間がかかりそうです。また、テロ対策の抜本的な見直しが求められています。

[April 22, 2013] No 0105257

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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