2分でわかるアメリカ

2013/04/19著名エコノミストが計算違い?


ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授とカーメン・ラインハート教授は、政府の累積債務残高がGDP比で90%を超えると経済成長が平均でマイナス0.1%に低下すると主張したことで知られています。先進国の26の事象を統計的に分析した研究の結果です。

ところが、マサチューセッツ大学の研究者グループが今週、ロゴフ教授とラインハート教授の統計の計算が間違いだと発表しました。2人の教授と同じデータを使って分析したところ、累積債務がGDP比で90%を超えた場合の成長率はプラス2.2%だったと主張しました。

この異議に世界が動揺しました。なぜかと言いますと、ロゴフ教授とラインハート教授が2010年に共同で論文を発表して以来、欧米主要国の政府や議会関係者が財政政策や予算を決める際の重要な根拠としていたからです。

例えば、アメリカ下院の共和党の予算委員長ポール・ライアン氏は最近、ロゴフ・ラインハートの論文を引用し、政府が債務を膨らませたため成長が鈍化したと主張しオバマ政権を批判しました。

 アメリカの累積債務はGDP比で100%を少し超えた程度です。マサチューセッツ大学の研究者の異論が正しければ、共和党の論理の根拠が崩れることになりかねません。去年の大統領選のミット・ロムニー候補の主張もズレていたことになります。 

ロゴフ・ラインハート共同研究は、債務危機が深刻なユーロ圏の緊縮財政などに関する議論にも影響を与えています。もし計算間違いであれば、過去の議論が全く意味のないことになってしまいます。

日本の国の借金はGDP比で200%を超えています。先進国の中で突出した高さ。ロゴフ・ラインハートの研究が正確であろうと、不正確であろうと、これだけ高ければ「危機的」なことに変わりはないでしょうね。

[April 18, 2013] No 0105255

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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