2分でわかるアメリカ

2013/04/16IRS100年、歴史は繰り返す


 きょう4月15日はアメリカの連邦個人所得税申告書(Form1040)の提出期限です。15日の消印があればセーフなので、毎年この日は多くが会計事務所に駆け込み、郵便局には長蛇の列が出来ます。インターネットでの申告が増えていますが、郵便局の光景はまだ変わっていません。 

日本の国税庁に相当する内国歳入庁(IRS)が個人所得税を導入してから丸100年を迎えます。南北戦争の財源を確保するため、リンカーン大統領が1862年に所得の3%から5%の所得税を導入したことがありました。ただ、「違憲」という裁判所の判断もあり廃止されました。そして、ちょうど100年前の1913年に現在の原型となる所得税が永久的に導入されました。第16次憲法修正です。3000ドル以上の課税所得に1%、50万ドルを超す課税所得には6%が上乗せされました。

その後の100年は、増税と減税の繰り返しでした。導入翌年1914年には第1次世界大戦の財源確保のため税率が上がりはじめました。所得税の最高税率は1918年に77%にまで達しましたが、その後に25%まで大幅に引き下げられました。そして、1929年以降の世界大恐慌後に再び引き上げられました。第2次大戦の終盤の1944年と1945年には、20万ドル以上の課税所得の税率は94%にまで跳ね上がりました。

過去30年をみても個人所得の税率が頻繁に変わっています。レーガン政権時代には高額所得者を減税、クリントン政権時代は増税、ジョージWブッシュ時代には再び減税されました。そして今年2013年、「財政の崖」を巡り議会と揉めに揉めた末にオバマ大統領は富裕層の税率を引き上げる法案に署名しました。高額所得者の支持者が多い共和党政権は減税、中間所得者層の支持が多い民主党政権は富裕層への増税の傾向が強いこと、また、そのときの経済情勢が税率に影響していることが歴史でわかります。

きょう提出期限を迎えた所得税は、8700ドル以下は課税所得の10%、38万8350ドル超の課税所得には35%の税率が適用されます。来年はさらに増税となり、最高税率は39.6%に上がります。連邦税に加えて、ネバダやテキサスなど7つの州を除いた43の州に居住する人には州の所得税が追加して課せられます。個人所得税率はクリントン政権時代とほぼ並ぶことになります。歴史は繰り返すということでしょうか。

[April 15, 2013] No 0105252

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.13 更新FRBの利上げけん制、最後のプッシュアメリカのトランプ大統領が11日、ロイターのインタビューを受けました。ウォール街で話題に。金融情報に強い通信社による単独インタビューのため、慎重に準備したことが…
  • 2018.12.12 更新ホワイトハウスの重要ポスト先週末まで、「ホームランド」をアマゾンプライム・ビデオで毎日観ました。2011年から放送されているCIAエージェントのテロリストとの戦いを描いたテレビドラマで8…
  • 2018.12.11 更新中国がiPhone差し止め、微妙なタイミング中国の福建省福州の裁判所が、特許侵害をめぐるクアルコムとの訴訟に関し、アップルのiPhoneの輸入と販売を差し止める仮処分を下したことが明らかになりました。クア…
  • 2018.12.08 更新2019年のFRB、世界経済、投資マーケットの2018年のテーマは、堅調なアメリカ経済、利上げを継続するFRB、トランプ政権の保護主義的な政策でした。トランプ大統領やFRBのパウエル議長の発言で…
  • 2018.12.07 更新NY株安、ミステリーで始まったニューヨーク株式市場は5日、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の国葬のため休場でした。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、アメリカ東部時間の5日午後6時…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ