2分でわかるアメリカ

2013/04/10円相場の下落は無限?


日銀の黒田総裁の下での初めての金融政策会合で大胆な量的緩和を決めて以来、円安基調が鮮明になりました。CNBCやブルームバーグ、ロイターなどの金融メディア、ウォール・ストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズなど欧米の経済メディアが連日、歴史的に異例ともいえる事態を大きく報じています。9日の取引で円相場は小幅反発したのですが、ウォール・ストリート・ジャーナルは「円売りは一時停止」などと伝えました。

最大の関心は円相場がどこまで下がるのか。そして、通貨だけではなく、世界の株式市場、債券市場、そして商品相場にどう影響するのかが議論を呼んでいます。  

メルク・ミューチュアル・ファンドのアクセル・メルク社長はCNBCに出演、「円は無価値になる」として円安の目標水準をINFINITY(無限)に設定しました。対ドルと対ユーロで円が急落した8日の時点で「セーフヘーブンとしての円の地位はなくなった」との見方を示しました。

1990年台にポンドを巡りイングランド銀行と闘い巨額の利益を得た投資家ジョージ・ソロス氏は「円安が雪崩のように止められなくなる」と警告しています。黒田総裁が主導した量的緩和の規模はFRBの量的緩和とほぼ同じ規模。日本のGDPはアメリカの3分の1ですから、影響力は3倍になるというのが理由です。資金の海外移転が加速するだろうと警鐘を鳴らしています。

資金の海外移転。行き先はどこか。ニューヨーク株式相場は日銀の大胆な量的緩和決定の前から、最高値水準で取引されていました。高値警戒感が強かったのですが、ニューヨークの株式相場は堅調に推移しています。日本からの資金が相場を支えていると指摘されています。ロンドン、フランクフルト、そしてパリの株式相場も同じ理由で上がっています。円で資金を調達し外国に投資する、いわゆる円キャリーが、今後も主要国の株式相場を押し上げ、有力国の国債相場を押し上げ、商品相場も上げる可能性があるとみられています。GDP比200%を超す日本の政府債務への注目も高まっています。

[April 09, 2013] No 0105248

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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