2分でわかるアメリカ

2013/03/30「常識シリーズ24」日本のフレンチは和食か


ロサンゼルスのサンセット通りを海側からビバリーヒルズに入ってストーン・キャニオン通りを左折。豪邸街をクルマで移動すると左側にライティングされた手入れの行き届いたガーデンが出現する。Hotel Bel-Air(ホテル・ベルエア)。ハリウッドスターなどが愛する隠れ家的な高級ホテルだ。

正面から入り、突き当たりを右に曲がると開放的なレストランがある。「WOLFGANG PUCK AT HOTEL BEL-AIR(ウルフギャング・パック・アット・ホテル・ベルエア)」。スパーゴなどで知られる米国を代表するシェフ、ウルフギャング・パック氏がプロデュースするカリフォルニア料理レストランだ。一日中開いているため、近所の富裕層らが家族で食事に来る。メイン料理の目玉の1つはJIIDORI Chicken。英語で「ジドリチキン」と発音する。  

日本の「地鶏」は15年ほど前から英語になった。鶏は米国産だが、自然に育てられた高品質のチキン。神戸牛風の牛肉は「KOBE BEEF(コウベビーフ)」と呼ばれ高級牛の代名詞になっている。ただし、こちらも米国産。ロサンゼルスの高級レストランでは、和の影響を受けたディッシュが目立つ。高級和食チェーン「NOBU」では、メキシコ料理のタコスに刺身を挟んだディッシュが人気だ。「和の味」を期待した日本人は首を傾げるが、米国人は美味しいと思う。

 欧米を訪れる日本人は例外がなく「日本の食が世界一」と言う。和食だけでなく、イタリアンもフレンチも日本が最も美味しいと言う。しかし、日本に渡航経験があるイタリア人に聞くと「寿司はうまいが、イタリアンはちょっと」と言う。ロシア人の妻は、東京のロシア料理レストランには興味がない。 

なぜか。日本のイタリアンやフレンチのシェフはほとんどが日本人。日本人が日本人のために料理するため、日本人の口に合う。メキシコ人が握った寿司は食べないが、日本人がつくったメキシコ料理は人気がある。中華料理好きの日本人が「中国は食事がまずかった」というのも同じこと。

ウルフギャング・パックが提供する料理は米国人が解釈した和風米国料理。東京の鉄人シェフがつくるフレンチは、日本人が解釈したフランス風日本料理と言える。米国で独自に進化した和食と日本人の口に合わせたワサビを使ったフレンチ。賛否両論があるが、単純に食事を楽しめれば良いのかもしれない。

[MARCH 29, 2013] No 0105241

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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