2分でわかるアメリカ

2010/06/08ハンガリーとギリシャ


ロシアの国営テレビ局で、見たこともないコンピュータや編集機を見たことがあります。いずれもハンガリー製でした。その頃から、ハンガリーは東欧の頭脳だと思っていました。ハンガリーは歴史的に多くの科学者を生み、ノーベル賞受賞数も人口比で世界トップクラスです。ルービックキューブは、ハンガリー人が発明しました。

そのハンガリーが先週末から、世界の注目を集めています。財政赤字が深刻でギリシャ型の危機になる可能性があるとの懸念が広がり、ハンガリーの通貨フォリントが急落、ハンガリー国債の利回りが急上昇したほか、世界のマーケットが混乱しました。  

ハンガリーとギリシャの財政健全度には、かなりの差があります。ハンガリーの累積財政赤字は、対GDP比で80%、一方、ギリシャは133%です。ハンガリーは2年前に、IMFとEU、それに世界銀行から200億ユーロの融資枠を受けることで合意していて、まだ融資枠の一部も残っています。このため、ハンガリーが直ぐにギリシャと同じ状況に落ち入る可能性は低そうです。

それなら何故、懸念が広がったのでしょうか。ギリシャはユーロ圏に参加した際に提出したデータが改ざんされていたことが表面化しましたが、ハンガリーのデータも正確かどうか疑わしいからです。与党フィデスの関係者は、「4月の総選挙の後前の政権が作った予算が実体からかけ離れていると何度も批判しています。ハンガリーは今年の財政赤字をGDPの3.8%にとどめることをIMFなどに約束していますが、約束を守れるかどうか疑わしいのです。

オルバン首相率いるフィデスは、減税を公約して3分の2以上の議席を獲得しました。対外的には財政赤字の削減を公約しています。減税と財政赤字削減が両立出来るかどうかも疑問です。ギリシャやポルトガルは当然、増税を導入します。

突然、スポットライトがあたったハンガリー。ハンガリーがギリシャになるかどうか結論が出るのは、かなり先のことです。オルバン政権が、ルービックキューブのような難問を解決出来るのか、世界が注目しています。

[June 07, 2010] No 010169

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.01.23 更新生活水準下げました我が家では、去年の第4四半期(10-12月)から生活水準を大幅に下げました。食費を切り詰め、無駄な買い物をしなくなりました。今年はクルマのダウングレードを考えて…
  • 2019.01.19 更新NY連銀総裁の警告不法移民を減らし、麻薬取引や人身売買などの犯罪を撲滅するためメキシコとの国境にスティール製の壁を建設するとのトランプ大統領の公約。国境警備の強化には賛成するもの…
  • 2019.01.18 更新ウォール街、株強気派増える17日のニューヨーク株式マーケットでは、モルガンスタンレーの決算が予想を下回ったことなどが影響し売りが先行しました。ただ、下げ幅は限定的。後半の取引で上昇に転じ…
  • 2019.01.17 更新メイ首相続投、5つのシナリオメイ首相が提示したEU離脱協定案の賛否を問うイギリス議会下院の投票が15日夜実施され、反対多数で否決されました。メイ首相が率いる与党・保守党からはEU離脱派と残…
  • 2019.01.16 更新政府閉鎖のネガティブ効果メキシコ国境の壁建設の予算をめぐるトランプ大統領と民主党の対立が続いています。解決に向かう兆候はまったくみられません。9つの省庁の予算が切れ、政府機関の約25%…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ