2分でわかるアメリカ

2013/03/16「常識シリーズ22」原発事故後の本音


第二次世界大戦の責任問題を追求するマッカーサー元帥と昭和天皇を描いた映画「EMPEROR(邦題:終戦のエンペラー)」が今月8日に米国で公開された。

 ロサンゼルス・タイムズが「的が外れている」と辛めの批評をしているが、日本人の特徴を描いたシーンもあった。鹿島大将役の西田敏行が、主演のマシュー・フォックスが演じるボナー・フェラーズ准将に対し語るシーン。「日本人には本音と建前がある。建前は2000年前から使っている」 

日本人の建前と本音を巡る議論は「日本人論」で必ず語られるテーマ。2000年前から本音と建前を使い分けていたかどうかは別として、理解が困難な日本人の特徴と言える。

東日本大震災と福島第一原子力発電所事故から2年が経過した。日本のテレビや新聞は当然ながら大きく報じた。各地の慰霊祭、復興状況などが幅広く報じられた。日本国内の報道を全て確認したわけではないが、被災地の本当の状況が伝わってこなかった。特に福島第一原発周辺に住む住民らの本音がわからなかった。

海外メディアも震災から2年を大きく報じた。ウォール・ストリート・ジャーナルは「融通の利かない官僚主義とリーダーシップの欠如で復興が進んでいない」と陸前高田などから報じている。ロシアのラジオ局VORは、福島の9万4975人の子どものおよそ半分から甲状腺の異常が確認されたと伝えた。AFPやロイターは、東京日比谷公園で開かれた脱原発を訴える集会に何千人もが集結したと報じた。

福島第一原発の事故直後、政府の発表や日本のメディアへの信頼が薄れ、日本人は海外メディアに客観的な情報を求めた。この構図は、民主党から自民党に政権が移っても変わっていない。日本のメディアは海外のニュースは客観的に伝える。リソースに限界があり地元メディアや通信社の情報を翻訳して伝えていること、何より政府関係者との深い関係や広告主からの圧力がないことなどが背景にある。しかし、東日本大震災や原発を巡る報道に客観性があるかどうかというと意見が分かれる。

フェイスブック上でテレビ東京の元同僚が八百屋の写真を投稿した。「青島みかん」と呼ばれる神奈川県湯河原のみかんから5.6ベクレルの放射能が検出されたという。国の基準を下回る放射線量だが、八百屋は「美味しいみかんですが、放射能が検出されています。小さなお子様が食べるのはご注意下さい」とポップをつけた。フェイスブックの投稿には客観性があり、本音があった。

[MARCH 15, 2013] No 0105231

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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