2分でわかるアメリカ

2013/03/09「常識シリーズ21」“技術大国日本の恐竜”


2013年2月13日付けのニューヨーク・タイムズに「ハイテク日本でファックス大活躍」という記事が掲載された。書いたのは東京支局長のマーティン・ファクラー氏。

記事は「ロボットや新幹線などの技術や世界最高速のブロードバンドで知られる日本で、留守番電話機やカセットテープと同様に1980年代の製品であるファックスが広く使われている」と伝えている。記事の中では、東京大田区の「お弁当の玉子屋」が写真付で紹介されている。毎朝6万食の弁当の注文の半分はファックスの注文だとしている。

日本人家庭の45%にファックスがあり、企業のファックス保有率は100%。2012年には170万台のファックス機が日本国内で売れた。この数字は先進国の中で飛び抜けて高い。米ワシントンにあるスミソニアン博物館が「歴史的な製品」として展示物に加えようとしているのに、ファックスはいまも幅広く使われているとファクラー氏は驚きを持って書いている。

 時代遅れのファックスを使い続けるのには日本独自の背景がある。まず高齢化社会。日本は世界で最も高齢化が進んでいる。資産の大半は高齢者が保有していて、ネットに対応できない人が相当数いる。 

日本語という最も複雑な言語を使用しているというのも背景の1つ。ひらがな、漢字、カタカナ、アルファベットを使用していて、欧米人と比べてキーボードに弱い。変換が複雑。アナログのワープロが普及したことで、コンピュータの普及が遅れたという指摘がある。欧米で当たり前の電子署名ではなく、印鑑を使う文化も影響している。

ファックス以外にも他の先進国と異なることが少なくない。例えば現金社会。電子マネーが世界で最も早く普及したのに、いまだにクレジットカードすら使えない店が極端に多い。DVDやCDがいまだに売れているのは先進国で日本だけ。欧米の放送局はハードディスクに録画するカメラを使用しているが、日本の放送局はテープに固執している。米国では電子書籍が本の売上を超えたが、日本では電子書籍は普及していない。これほどイメージと実体のギャップがある国は珍しい。

[MARCH 08, 2013] No 0105226

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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