2分でわかるアメリカ

2013/02/27中国とインドとハリウッド


前日に続いてハリウッド関連です。

24日のアカデミー賞の受賞式では、目立ちませんが、ビジュアル・エフェクト(VFX)、つまり視覚効果の最優秀賞に「Life & Pi(邦題:ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日)」が輝きました。監督賞を受賞した台湾出身のアン・リー氏の作品です。

 「Life & Pi」の視覚効果を制作したのはRhythm & Hues(リズム&ヒューズ)というロサンゼルス空港の近くにある会社。業界ではR&Hと呼ばれています。業界最大手の1社で、過去にゴールデン・コンパス、マネーボール、Xメン・ファーストクラス、ジャンゴなど多くのメジャー映画のデジタル加工を手がけてきました。 

このVFXの大手がアカデミー賞受賞式の10日前に経営破たんしました。日本の会社更生法にあたるチャプター11の適用を申請しました。

デジタル化が進み、いまやコンピュータ・グラフィックを使用しない作品がないというぐらいVFXは映画制作の重要な要素を占めています。26年前に創業したR&Hも、市場拡大に伴って倍々ゲームで成長しました。

VFXが今後拡大していくことは間違いないのですが、グラフィック・ソフトの価格がかつての10分の1になったほか、高スペックのコンピュータが誰でも買えるような値段になりました。そして、コストの一部を還付する税優遇制度があるカナダやイギリスなど英語圏のライバル会社との競争が激しくなりました。価格競争力で劣るR&Hの売上は下がり続け破たんに追い込まれました。

競争力を失ったロサンゼルスのVFX会社は、どこも苦しい経営を迫られています。既に数社が破たんしました。半年前には、大手のデジタル・ドメインが破たん。会社はバラバラにされ、中国の会社とインドの会社が買収しました。VFXに限らず、このところハリウッドでは、インドと中国の影が目立ちはじめています。不動産や自動車会社だけではなく、アジアの巨大マネーがアメリカの文化を象徴するハリウッドに本格進出する日が近いのかもしれません。

[FEBRUARY 26, 2013] No 0105218

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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