2分でわかるアメリカ

2013/02/1312億人の頂点


ローマ法王庁、いわゆるバチカンの発表は世界を驚かせました。

 カトリック教会の頂点に立つローマ法王ベネディクト16世が今月28日に退位するとバチカンが発表しました。85歳と高齢で体力が衰え、職務を遂行することが困難になったというのが理由です。ローマ法王は原則として終身制で、存命中の退位は実に600年ぶり。まさに歴史的な発表でした。 

カトリック教徒が少ない日本と比べ、欧米の関心は高く、メディアはトップで大きく伝えました。ローマ法王庁の歴史、ベネディクト16世の足跡、関係者のコメントなどテレビは長い時間を割いて、新聞は大きな紙面を割いて報じました。

特にベネディクト16世はドイツ出身であるため、バチカンの外ではドイツの反響の大きさが目立ちました。ビルド紙は「われわれドイツ人の法王ベネディクトが退任」と大きな見出しで報じました。ベネディクト16世は、ドイツ人の誇りであり、最も尊敬される実在の人物だったと言えます。カトリック教徒が多いフランスやスペインなどでも今年最大のニュースになったことは間違いありません。

ただ、ヨーロッパではカトリック教会が縮小傾向にあります。保守的な価値観、相次いだスキャンダルが背景にあるとの指摘もあります。一方で、ラテン・アメリカではカトリック教会の勢力が拡大しています。世界に12億人と言われるカトリック教徒の40%はメキシコブラジルアルゼンチンなどのラテン・アメリカが占めます。ベネディクト16世が2011年にメキシコを訪問した際は、刑務所から受刑者が一時的に解放されミサに参加するなど大イベントになりました。

バチカンは3月末までにコンクラーペ(法王選挙会)を開き後任を決める方針です。ラテン・アメリカのカトリック教会は当然ですが、ラテン・アメリカ出身者を推すと見られます。このほか、ナイジェリアやガーナなどアフリカ系、もしくはアメリカやカナダ出身者も有力候補に挙がっていて予断を許しません。当面、バチカン発のニュースが欧米で話題を集めそうです。

[FEBRUARY 12, 2013] No 0105208

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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