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2013/02/02「常識シリーズ16」“負け続ける日本”


自動車のトヨタ、テレビのソニー、任天堂の携帯ゲーム。日本製が世界を制した代表的商品だ。VHSビデオテープに代表されるように、日本発の規格が世界のデファクト・スタンダードだった。しかし、それはアナログ時代の話。

世界がネットワークで繋がったデジタル時代では、コンピュータ、スマートフォン、タブレットと日本は負けっぱなしだ。アナログ時代に強かったテレビや白物家電も韓国企業や中国企業に完敗した。

アナログ製品とデジタル製品の大きな違いは、自動車やテレビなどハードが単体の製品であるのに対し、コンピュータはウィンドウズやMacOSといった各アプリケーションとハードを連携して初めて機能する製品だということ。スマートフォンも同じ。OSはさまざまなレイヤーで出来ていて、アメリカだけではなくインドやウクライナなど世界中の開発者、そして部品メーカーとも連携する必要がある。そこに日本が負けた理由がある。

世界と連携するためには、まずビジネスのデファクトである英語力が重要になる。日本人が学校で勉強する英語は受験用の英語で使える英語ではない。受験英語ではビジネスの交渉は難しい。日本発のソフトウェアが出ないのも同じ理由。例え英語が出来るソフト開発者がいたとしても、横に広がらない日本人の思考が世界との連携を難しくしている。論理よりも根性や情緒を重視する思考は、日本をデジタル時代の敗者にしているとも言える。

社会構造も問題だ。官僚機構にみられるように日本は典型的な縦割り社会。横の連携が弱い、というか無い。1995年までソニーのCEOを務めたクオンタムリープの出井伸之代表取締役は、日本という国は「ちょうど昔のワープロ専用機みたいに別々のOSで動き、互換性がない」と指摘している。

まだある。日本人の完璧主義。職人気質の日本人は、99.99%、つまり限りなく完璧に近い製品を長い時間をかけてつくる。OSやソフトウェアは競争が激しく時間が勝負で95%完成した段階で市場に出す。自動車やテレビで同じことをすれば、大リコールに繋がり、多大な損害を被るが、ソフトウェアはネット上でバグを処理していくため、99.99%にするのに時間もコストもかからない。

 デジタル化、ネットワーク化はさらに進化する。社会構造や教育を根本的に変えない限り、日本は負け続けるかもしれない。

[FEBRUARY 01, 2013] No 0105201 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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