2分でわかるアメリカ

2013/01/26「常識シリーズ15」“現金が一番“と脱税


ロサンゼルス郊外のラーメン店。去年、税務署の職員が訪問した。米国では少ない「キャッシュ・オンリー」のラーメン店。職員はテーブルに座って顧客数を調べ、所得申告が低すぎると申告の修正を迫った。

ところ変わって東京郊外の駅。観光で訪れた米国人が切符を買おうとしたが「現金のみ」。泣きつかれた駅員は個人的に2ドルを両替した。米国人は電車に無事乗ったが、後味が悪かった。「なぜクレジットカードが使えないのか」と言って米国人は去った。

米国人は、電車やバスの切符、駐車メーター、1杯のスターバックスのコーヒーまでクレジットカードで支払う。近所の駐車場は「クレジットカード・オンリー」だし、ホテルはクレジットカードがないと予約できない。自動車免許の更新料や税金の一部もクレジットカードで払う。米国のクレジットカード発行枚数は約8億枚。国民1人あたり2.6枚の計算になる。支払いの55%程度は、クレジットカード、小切手、デビットカードで、現金による払いは約45%。実体は現金の使用度は極端に低い。英国やフランスもほぼ同じ、韓国ではカード払いが約60%を占める。

米国では、使った分を期限内に支払うと「クレジットスコア」という信用力が上がることもクレジットカードを使うインセンティブになっている。別の言い方をすると、現金しか使わない人は社会的信用がないと見られる。50ドル紙幣や100ドル紙幣はラスベガスでしか見ない。ATMで引き出すと20ドル札しか出てこない。タクシーの運転手は現金を5ドルしか持っていない。

 クレジットカードを使うと記録が残る。所得申告の際、会計士は帳簿とカードの記録と銀行口座残高を照合する。ソーシャル・セキュリティという番号制だから、透明性が高い。企業も同じ。だから、米国では現金しか受け取らないレストランは脱税していると疑われる。 

日本にクレジットカードが誕生したのは1950年。丸井のカードが最初とされるが、いまでは3億枚が発行されている。国民一人当たり約3枚で米国より多い。しかし、クレジットカードの使用率は10%程度。約90%が現金取引だ。米国から見ると「脱税天国」。二重帳簿の話もよく聞く。日本の「現金社会」は主要国の中で際立っている。債務危機のギリシャもクレジット社会だが、現金で払うと大幅に値引きしてくれる個人商店が多い。

[JANUARY 25, 2013] No 0105196

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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