2分でわかるアメリカ

2013/01/101兆ドル硬貨の効果


アメリカ議会は「財政の崖」をギリギリで回避したものの、連邦債務が上限に達したシーリングの問題は手つかず。一部では「3月の崖」などと呼ばれています。債務上限を決めた法律を修正しシーリング(天井)の引き上げに失敗した場合、アメリカ政府はデフォルト(債務不履行)に陥るリスクがあります。

この問題に関し、ホワイトハウスと議会の関係者が毎朝目を通すワシントン・ポストが、驚くような提案をしました。1兆ドル(約88兆円)のプラチナコインを製造することです。

 アメリカ議会は220年前から財務省にコインを製造する権限を与えています。これを利用して財務省が1兆ドルのプラチナコインを1枚つくることをワシントン・ポストやエール大学のバルキン教授が提案しました。 

1兆ドルコインは、中央銀行であるFRBにある財務省の口座に預け、そこから歳出を捻出するというものです。そうすれば政府の借金である国債を発行する必要もないとしています。議会がシーリングを引き上げた場合は、コインを引き出し溶かしてしまえばいいと提案しています。

コインをつくるアイデアは2011年にもありましたが、実現しませんでした。議会の与野党の溝があまりにも深いため、再び浮かび上がりました。ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授は1兆ドルコイン案を批判、共和党の議員も大反対しています。反面、「デフォルトになるよりまし」との賛成の声が民主党の議員の中から出ています。

1兆ドルのコインの発行に関する嘆願書には3000人の署名が集まっているそうです。コインにはオバマ大統領やレーガン大統領の肖像画が載るとか、サイズは10セント硬貨より小型になる、いっそのこと1兆ドルコインを2枚つくってはどうかなど、メディアではいろいろな方向に話が膨らんでいます。それにしても、法の網をくぐった面白いアイデアが飛び出すのは、アメリカならではですね。

[JANUARY 09, 2013] No 0105185

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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