2分でわかるアメリカ

2013/01/08税金高けりゃ国籍変える


世界が注目した「財政の崖」問題は、年収40万ドル超の個人もしくは夫婦合算の年収が45万ドルを超える人に増税することで決着しました。これにより、富裕層の所得税の最高税率は、35%から39.6%に引き上げられます。

高給取りのアメリカ人は当然ですがアンハッピー。しかし、世界を見回すと、アメリカの最高税率は高くはありません。

富裕層の所得税が世界で最も高いのは社会福祉大国のスウェーデンです。最高税率は56.6%。2位は債務危機が囁かれるスペインで52%。3位はベルギーとイギリスで50%です。ドイツは45%、イタリアは43%、そして日本は40%です。

フランスの現在の税率は45%なのですが、オランド政権はスウェーデンより高い75%にする法案を提出しました。フランス人富裕層が大反発、欧米で大きな社会問題になっています。

いま最も注目されているのは、映画「グリーンカード」などで知られる俳優のジェラール・ドパルデューさんです。ドパルデューさんは増税案に抗議してベルギー国籍を取得する方針でした。隣の国ですし、フランス語圏でもあるので誰も驚きませんでした。

ところが、ドパルデューさんは方針を変え、ロシアの国籍を申請しました。ロシアに移住するというのは、冷戦時代であれば、共産党主義者もしくはスパイでした。しかし、今回は税金が低いことが理由です。ロシアの所得税は一律13%です。

ロシアとフランスは、100年以上前は近い関係にあり、いまでもフランス映画はロシアで人気です。当然、ドパルデューさんのロシアでの知名度は高く、プーチン大統領は市民権を与える大統領令に先週署名しました。

 ドバルデューさんがロシアに移住するかどうかは不明ですが、ロシア人は大歓迎しています。反面、フランスでは大きなバッシングを受けています。フランスのオランド政権は最高税率75%の法案を一旦取り下げ、修正後に再提出する方針です。ただ、相当高くなることは間違いなさそうです。 

世界のほとんどの国は厳しい財政問題を抱えています。増税の動きが一段と高まることが予想されます。税金が高ければ国籍を変えるという動きが今後も増えそうな気がします。

[JANUARY 07, 2013] No 0105183

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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