2分でわかるアメリカ

2012/12/27「財政の崖」で合意できない訳


 「財政の崖」の期限が迫っています。クリスマス休暇を過ごしたホワイトハウスと議会が明日27日から協議を再開します。実質5日しかありませんので、詳細は年明けに詰めるにせよ、懸案の富裕層への増税、もしくは中低所得者層の減税延長で合意できるかどうかが焦点です。 

クリスマス前に、交渉の鍵を握る共和党のベイナー下院議長が100万ドル以上の富裕層への増税を主張、下院での可決を目指しましたが失敗しました。共和党内の保守派が反対し、可決に必要な票が得られなかったためです。同じ共和党なのに反対者がなぜいるのか。そのルーツは20年以上前にありました。

1988年の大統領選で、ジョージ・H・W・ブッシュ氏が、共和党の候補者指名を受けた際の演説で、「Read my lips: no new tax(私の口元をみてください。増税はしません)」と述べました。ブッシュ氏は、増税はしないと公約し、その年の大統領選挙に当選しました。

ブッシュ大統領は大統領になると財政赤字の削減に取り組みます。そして、1990年に民主党と財政改革で合意しました。合意には複数の増税が含まれていました。民主党の理解を得るために公約を破ったのです。これが原因で、湾岸戦争で勝利したにもかかわらず、ブッシュ大統領は1992年の再選選挙でクリントン候補に破れました。

20年前の構図は現在と類似しています。民主党のオバマ大統領が富裕層への増税を主張、共和党は全ての層の減税延長と歳出削減を主張しています。共和党の議員の中には、1990年の財政改革合意がトラウマとなり、ベイナー下院議長の譲歩案に反発したのです。

オバマ大統領は、当初の主張である年収25万ドル以上の富裕層への増税を年収40万ドルにする譲歩をしました。ベイナー下院議長の案が100万ドルだったので、50万〜75万ドルで合意するのではないかとの見方もあるのですが、「1990年のトラウマ」が重く、どう展開するのか読みづらくなっています。

[DECEMBR 26, 2012] No 0105177

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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