2分でわかるアメリカ

2012/12/13住宅リバウンドにかける巨大マネー


このところ、住宅関連の経済指標がやや上向いてきています。雇用と並んでアメリカ経済の課題と言われていた片方が回復に向かうことは良いニュースです。でも、ほとんどのアメリカ人にとってではなく、巨大マネーを動かす投資家にとって良いニュースだということです。

どういうことかと言いますと、平均的なアメリカ人の多くは、住宅バブル崩壊と金融危機の影響を大きく受け、職を失うだけでなく、住宅も失いました。住宅を失った世帯は390万以上とみられます。

なんとか職を見つけて、価格も下がったので、「もう一度買おう」と思っても、ローンがおりません。大量の不良債権を抱える金融機関が審査を想像以上に厳しくしているためです。

その一方で、豊富な資金力で一軒家を買いまくっている人がいます。

ニューヨーク・タイムズによりますと、ゴールドマン・サックスを経て財務省で連邦政府の不良債権問題を取り扱う仕事をしていたデビッド・ミラー氏が、Two Haborsという住宅専門のファンドをはじめました。投資家から集めた資金で、これまでに2200の一軒家を購入しました。ローンが支払えず売り出された物件や差し押さえ物件などを買いまくりました。

一方、ニューヨークの大手プライベート・エクイティ・ファンドのブラックストーン・グループは、10億ドル(約820億円)を投じて6500件の住宅を購入しました。今年1月からわずか11カ月間でです。また、ロサンゼルスの大富豪が主宰するコロニー・キャピタル・グループは、今年4000件の住宅を購入しました。

 3つのファンドの住宅購入は、いずれも現金での取引だそうです。当然ですが将来の値上がりを見込んだものです。もしかしたら、巨大マネーによる現金取引が住宅関連の指標を押し上げているのかもしれません。一軒家を持つことは「アメリカン・ドリーム」でした。しかし、夢を実現しているのはファンドだけだったら非常に残念です。 

[DECEMBR 12, 2012] No 0105169

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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