2分でわかるアメリカ

2012/12/04Win/Winのはずが


日米のメディアで最も差が大きいのは「調査報道」です。

発生した事件や事故を速報、政府の発表や民間企業などを伝えるだけではなく、取材する側が主体性を持って長期間に渡って多くのソースから情報を積み上げて行くのが調査報道で、「報道の王道」と言えます。日本の大手新聞社やテレビ局は、各官庁などの記者クラブに所属していて「発表報道」に頼っているため、調査報道はなかなかお目にかかれません。

 個人的にアメリカの調査報道は大好きで、いつも取材の深さに感心します。週末のニューヨーク・タイムズに長編の調査報道の記事が掲載されました。企業が税制優遇措置を模索する一方で、政府は巨額の負担をしているという記事です。以下はその要約です。 

アメリカの自動車大手GMは1995年以降、地方政府の優遇税措置を利用して、工場や施設を毎年建ててきました。金融危機後の2009年にGMは破たんしますが、その後の会社更生の資産見直しで、多くの施設が売却、もしくは閉鎖されました。ニューヨーク・タイムズの調べでは、閉鎖された少なくとも50の施設は地方政府が雇用促進のため優遇税制や巨額の補助金を出したものでした。

GMは長年に渡って地方政府に現金を要求、雇用をはじめ経済的効果を期待した州や郡、市の政府が「わらをもすがる」気持ちで税金をGMのために投入してきました。しかし、GMは自己都合で施設を閉鎖し従業員を解雇、一方の地方政府は誘致後のフォローアップを一切していないとニューヨーク・タイムズは批判しています。

GMだけではなく、アメリカの幅広い業種の企業が地方政府の優遇措置を利用しています。ニューヨーク・タイムズによると、地方政府が企業誘致のためにつかう税金などの総額は年800億ドル(約6兆5000億円)にも上り、連邦政府などの補助金を含めると1700億ドル(約13兆9000億円)もが税制優遇措置につかわれています。ニューヨーク・タイムズも州と市から合計2400万ドル(約19億6000万円)を受け取っていたとしています。

今回の調査報道で、ニューヨーク・タイムズは15万件以上の案件を調べ、政府や企業など100人以上にインタビューしました。権力を監視するという報道機関の役割を果たしています。福島第一原発事故をニューヨーク・タイムズが調査報道すると「発見」があるような気がします。

[DECEMBR 03, 2012] No 0105162

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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