2分でわかるアメリカ

2012/11/24「日本の常識は世界の非常識」7 


2012年10月9日は、競争力が低下した日本が存在感をアピールする絶好の日だった。国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会が48年ぶりに東京で開催されたからだ。「東日本大震災からの復興に取り組む強い決意を示したい」として日本政府が国際社会に呼びかけ実現した大イベントだった。

しかし。英エコノミスト誌は「お祖末な主催国(Poor host)」と題する記事の中で「こんな経済外交は展開してはならないと教訓を示してくれた」と評した。

野田総理は開催のちょうど1週間前、総会の最重要ポストである財務大臣を交代させた。民主党内の中の問題による必要性が低い内閣改造の結果だ。任命された城島氏は大臣の経験も財務や金融関係の経験もない。ニューヨーク連銀出身のガイトナー財務長官やフランス財務相出身のラガルド専務理事などと比べ明らかに力不足。おまけに尖閣諸島問題に抗議して世界経済のけん引役の中国のトップも欠席した。

「復興をアピールした」とするのは日本のメディアだけ。ウォール・ストリート・ジャーナルは、IMF総会では欧州債務危機や米国の財政の崖問題に加えて、ホスト国である日本の膨れ上がった債務問題が大きな懸念として注目されたとしている。

IMFの2012年10月のデータベースをもとにした政府総債務残高GDP比ランキングでは、日本が229%と飛び抜けてトップ。欧州債務危機の中心地とも言えるギリシャは165%で2位。

ギリシャをはじめとする欧州諸国の外国依存度が高いのに対し、日本国債はほとんどが国内の個人や金融機関が保有しているため安全だと言われる。外国に借金をしていないから大丈夫という見方。

しかし、海外投資家の日本国債保有率は急速に増えている。日銀の資金循環統計によると、2012年6月末時点の海外投資家の保有残高は81兆6133億円と過去最高になった。5年前の倍に増えた。逃げ足が速い海外資金が国債を一斉に売ったらどうなるか。「日本国の破たんに繋がる可能性が指摘されている。

 欧米メディアで最近、日本の巨額債務に関する記事が増えた。同時に目立つのは、混迷する政治、日本を代表する企業の「投資不適格」への格下げなど、ネガティブ・ニュースばかり。日本は歴史的な「失敗例」「教訓」になっている。 

[NOVEMBER 23, 2012] No 0105156

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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