2分でわかるアメリカ

2012/11/21「財政の崖」の富裕層はリッチじゃない?


 世界が注目するアメリカの「財政の崖」。最大の焦点は、「富裕層増税」を譲らないオバマ大統領と「富裕層を含めた全ての所得者層の減税延長」を主張する共和党のベイナー下院議長が歩み寄れるかどうかです。 

オバマ大統領が計画している「富裕層増税」とは、個人で年収20万ドル(1600万円)以上、夫婦合算で年収25万ドル(約2000万円)以上を「富裕層」と定義しています。25万ドルは大金ですが、「余裕がない」という意見が少なくありません。年収25万ドルが「本当に裕福なのか」を分析する調査があります。

フィスカル・タイムズは、合計25万ドル以上の年収がある夫婦の家計事情について、大手会計事務所のBDOに調査を依頼しました。調査したのは全米8カ所。夫婦共働きで子ども2人、レベルが高い公立学校がある地域の一戸建てに住む家族です。

それによりますと、25万ドルから税金、住宅ローン、引退後と子どもの教育のための貯金もしくは投資分を差し引くと8家族のうち7家族の家計は赤字でした。特に、ニューヨークのハンチントンとロサンゼルスのグレンデールの赤字の大きさが目立ちました。黒字だったのはテキサス州のプラノに住む家族だけでしたが、わずか4963ドル(約39万円)の黒字でした。

つまり、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、シカゴなどの都会に住む年収25万ドルはリッチではありません。アッパーミドル、中間所得者層の上の方にすぎないということです。フィスカル・タイムズによりますと、ニューヨーク市に住む人の平均年収はイリノイ州のペオリア市に住む人より約30%高いのですが、生活費は105%も多くかかるそうです。

「財政の崖」問題に絡む減税に関する協議はどういう結末になるか分かりません。ただ、オバマ大統領の主張が通れば、合算年収25万ドルの夫婦の所得税率は35%から39.6%に引き上げられます。都会に住む夫婦の赤字はさらに拡大することになります。

[NOVEMBER 20, 2012] No 0105153

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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